フェスティバルホールで聴く4つの欧州名門オーケストラ

世界をリードする楽団が次々と大阪にやってくる!


 今年、大阪のフェスティバルホールには、ヨーロッパの名門オーケストラが集う。オーストリアのウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(11/16)、ドイツのミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団(11/29)とフランクフルト放送交響楽団(6/13)、そして、イギリスのロンドン交響楽団(9/23)。そのうち、ロンドン響とミュンヘン・フィルは、「第56回大阪国際フェスティバル2018」の公演である。

ラトルがロンドン響を率いて登場

 最も注目すべきは、サイモン・ラトル&ロンドン響であろう。ラトルは、今年6月でベルリン・フィルの芸術監督を離任するが、新しいパートナーであるロンドン響とは昨年秋からシーズンを開始し、既に地元でセンセーショナルな成功を収めている。そして、今年9月、ラトルとロンドン響の“ハネムーン”というべき、このコンビでの初めての日本公演が行われる。
 大阪では、まず、バーンスタインの生誕100年を記念して、彼の交響曲第2番「不安の時代」が演奏される。今回は、生前のバーンスタインと共演を重ねた、クリスティアン・ツィメルマンがこのピアノ協奏曲的な交響曲で独奏を務める。ジャズ・テイストを含んだバーンスタイン作品をラトルとツィメルマンがどのように演奏するのか興味津々である。そしてメインには、ラトルの伝家の宝刀であるマーラーの交響曲第9番が取り上げられる。

ゲルギエフとユジャ・ワンの共演

 ミュンヘン・フィルは、2015年から首席指揮者を務めるワレリー・ゲルギエフとの再来日である。チェリビダッケをはじめとする巨匠たちの薫陶を受け、ミュンヘン・フィルが最も得意とするブルックナーを今回も披露する。15年は交響曲第4番であったが、今回は第9番。このコンビの進化を聴くには最適の作品といえよう。
 また、演奏会前半には、ユジャ・ワンを独奏者に迎え、ブラームスのピアノ協奏曲第2番が演奏される。昨年11月のベルリン・フィル来日公演や今年3月のニューヨーク・フィル来日公演でソリストを務めるなど、今、まさに世界の檜舞台で活躍を続けている彼女だが、演奏の内容もそれにふさわしいものとなっている。ドイツの名門オーケストラとブラームスの大曲をどう演奏するのか楽しみ。

ウェルザー=メストはウィーン・フィルと十八番のレパートリーで

 ウィーン・フィルは、フランツ・ウェルザー=メストとともに来日する。ウェルザー=メストは14年までウィーン国立歌劇場の音楽監督を務めるなど、ウィーン・フィルとは気心が知れている。大阪では、モーツァルトの《魔笛》序曲とピアノ協奏曲第24番、ブラームスの交響曲第2番という、ウィーン・フィルの十八番のレパートリーが披露される。そしてモーツァルトの協奏曲の独奏には、名実ともに世界最高のピアニストの一人となったラン・ランが迎えられる。彼は11年のウィーン・フィルの来日公演でもソリストを務めるなど、今ではウィーン・フィルの常連共演者となっている。

若きマエストロとフランクフルト放送響が繰り出すサウンドに期待

 フランクフルト放送響は、14年から同響の音楽監督を務めるアンドレス・オロスコ=エストラーダと来日する。ワーグナーの《リエンツィ》序曲、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」というプログラム。コロンビア出身の若きマエストロのフレッシュな音楽作りが楽しみだ。ラフマニノフの協奏曲では、15年のショパン・コンクールの優勝者、チョ・ソンジンの成長ぶりにも注目。
文:山田治生
(ぶらあぼ2018年6月号より)

フランクフルト放送交響楽団 2018.6/13(水)19:00

ロンドン交響楽団 2018.9/23(日・祝)14:00

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 2018.11/16(金)19:00

ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団 2018.11/29(木)19:00

会場:フェスティバルホール
問:フェスティバルホール06-6231-2221 
http://www.festivalhall.jp/