田尾下哲シアターカンパニーが「OPERA ART ACADEMIA 2018」を開催

 演出家・田尾下哲が主宰する「田尾下哲シアターカンパニー」では、主にオペラ歌手やオペラ公演関係者、オペラファンを対象に4月から「OPERA ART ACADEMIA 2018」を開催する。  
 同企画は、年間を通じてトークセッションやワークショップ等、およそ20回のプログラムを実施することで、あらゆる視点からオペラという芸術表現を見つめ直し、参加者とも具体的なスキルや知識を学び合うことを目的としている。ゲストスピーカーには、作曲家、指揮者、歌手、演奏家、演出家をはじめ、美術家や振付家、声帯に詳しい医師などオペラ公演を支える多様なプロフェッショナルを招く。
 オペラ演出においては田尾下自身の視点に加え、国内・国外で数々のオペラ作品の演出を手掛ける2人の演出家、岩田達宗と菅尾友が参画予定。三者三様のスタイルで、それぞれが参加者とともにクリエーションを実施し参加者とともに「オペラ演出」を改めて見つめ直す。
 第1回目は、「オペラ芸術論Ⅰ 〜私たちはどこへ向かうべきなのか?〜」と題し、4月26、28日、田尾下がオリエンテーションを行う。

左より:岩田達宗 写真提供:大阪音楽大学、菅尾友、田尾下 哲 C)平岩 享

 主宰の田尾下は開催に際し、次のように意気込みを語っている。  

「オペラが音楽性だけでなく物語性と相まって、現代に通じる総合芸術として愛されるにはどうしたら良いのか・・・、そのことを常に考えてきた一人のオペラ人として、オペラの専門家、専門技術といった既成の価値観にとらわれることなく、様々な視点から再びオペラ上演の可能性や魅力を見つめ直す機会を作りたい。
 このアカデミアは、作曲家、指揮者、演奏者、演出家、振付家、美術家、衣裳家、照明家などの作者、実演家、クリエイティブ・スタッフだけではなく、声の専門医や批評家などを招いてオペラを様々な視点から見つめ、学ぶだけではなく、オペラの可能性について検証し、意見を交わし合いたい」

 演出家として活躍する田尾下だが、演出という切り口においても自身のみならず、同じく演出の岩田達宗と菅尾友らが参画。協業が珍しい演出家同士が、田尾下を中心に連携しながら、今秋には各々の演出スタイルでのワークショップを開催する。  

 プログラム詳細は、順次「田尾下哲シアターカンパニー」のホームページ(http://tttc.jp)にて公開する予定だ。
(※2018.4/15現在のプログラム予定一覧は右の画像(PDF)をクリック)

 会場は、主に桜美林大学 四谷キャンパス(千駄ヶ谷)1階ホールで、参加費は無料(一部プログラムのみ設備費等の実費を参加者負担)、単回での参加も可能となっている。

 また、「OPERA ART ACADEMIA 2018」の開催に先立ち、プロローグとして「オペラ芸術論Ⅰ 〜私たちはどこへ向かうべきなのか?〜」(2018.4/26(木)19:00〜21:00、4/28(土)15:00〜17:00)を開催する。このプログラムは田尾下自身が企画全体の主旨や今後のプログラムについて語るオリエンテーション。

 問合せ・申込は、カンパニーのメールアドレス(info@tttc.jp)まで。 「OPERA ART ACADEMIA 2018」の様子は、随時WEBぶらあぼでも掲載予定。

【Profile】
■田尾下 哲(演出家・劇作家)

1972年兵庫生まれ、横浜育ち。東京大学工学部建築学科卒。同大学院学際情報学府修士課程修了。ドイツ人演出家ミヒャエル・ハンペとの出会いを機に本格的に演出を学び、2000年から演出家として活動を開始。03年より新国立劇場に所属し、オペラ・チーフ演出スタッフとして約70以上のプロダクションに参加。アンドレアス・ホモキ、ジョナサン・ミラー、グリーシャ・アサガロフなど世界の第一線で活躍する演出家と協働した。
 2009年、第20回五島記念文化賞オペラ新人賞受賞。同年6月、チューリヒ歌劇場『カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師』で共同演出家・振付家としてヨーロッパデビュー。これまでの演出作品に、日生劇場「カプレーティ家とモンテッキ家」、新日本フィル「ペレアスとメリザンド」、二期会創立60周年記念公演「カヴァレリア/パリアッチ」、一柳慧新作オペラ「ハーメルンの笛吹き男」など多数。2013年はあいちトリエンナーレ・プロデュースオペラ「蝶々夫人」、2015年は神奈川県民ホール開館40周年記念オペラ「金閣寺」の演出を手掛けた。近年はオペラの演出に留まらず、ミュージカルやストレイトプレイ、映像作品など多彩な作品に携わっている。

■岩田達宗(演出家)
東京外国語大学フランス語学科卒業。大学卒業後、舞台監督集団「ザ・スタッフ」に参加。オペラの舞台製作にかかわる。’91年より栗山昌良氏に演出助手として師事。’96年五島記念文化賞オペラ新人賞を受賞。’98年より2年間、ドイツ、イギリスを中心にヨーロッパ各地を遊学、研鑽を積む。帰国後、本格的にオペラ演出家として活動を始め、各地のオペラ・プロダクションで作品を発表し、高い評価を得る。’03年に堺シティオペラでのプッチーニ作曲「三部作」、’05年いずみホールでのプーランク作曲「カルメル会修道女の対話」は、同年のクリティック・クラブ賞、大阪府舞台芸術賞を受賞。同じく堺シティオペラ「三部作」、’05年愛知万博開催記念オペラ、新実徳英作曲「白鳥」、’12年会津オペラ「白虎」は佐川吉男賞を受賞。’08年愛知県文化事業財団「ファルスタッフ」では三菱UFJ信託音楽賞を受賞。’11年ザ・カレッジオペラハウス公演「ねじの回転」は文化庁芸術祭大賞に輝いた。また2006年には自身が、オペラ演出家として初めてとなる音楽クリティック・クラブ賞を受賞。最近の代表的な演出作品は、藤原歌劇団「ラ・ボエーム」、愛知県芸術劇場「ファルスタッフ」、ひろしまオペラ・音楽推進委員会「カルメル会修道女の対話」「魔笛」、東京文化会館開場50周年記念オペラ「古事記」、新国立劇場「夜叉ヶ池」、慶長遣欧使節出帆400年記念事業「遠い帆」など。

■菅尾友 (演出家)
幼少期をアメリカ、オランダ、ドイツ等で過ごし、4歳からバイオリンを始める。アメリカ・ミシガン州の選抜オーケストラでコンサートマスターを務めた他、故・山本直純氏らが指導したジュニア・フィルハーモニック・オーケストラや、アジア・ユース・オーケストラのヨーロッパ・ツアーに参加。18歳でオペラの演出活動を開始した後、東京・新国立劇場、ベルリン・コーミッシェ・オーパー演出スタッフを経てケルン、ドルトムント、ヴュルツブルク、チューリヒ、ルツェルン、オスロ、プラハ、ルクセンブルク、台北、びわ湖、東京等の劇場で演出家として活動中。
これまでに『魔笛』『イドメネオ』『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ』(モーツァルト)『子供と魔法』(ラヴェル)『ジューリオ・チェーザレ』(ヘンデル)『ノルマ』(ベリーニ)『ドン・キホーテ』(マスネ)『ユグノー教徒』(マイアベーア)『黒船』(山田耕作)等のオペラ、『夏の夜の夢』『ハムレット』『ロミオとジュリエット』(シェイクスピア)等の舞台を演出。08年文化庁新進芸術家海外留学制度派遣生、09年ヴァーグナー国際財団奨学生、13年五島記念文化賞新人賞。

 

「OPERA ART ACADEMIA 2018」

プロローグ
「オペラ芸術論Ⅰ 〜私たちはどこへ向かうべきなのか?〜」(オリエンテーション)
2018.4/26(木)19:00〜21:00
4/28(土)15:00〜17:00(※2回とも同様の内容)
桜美林大学 四谷キャンパス(千駄ヶ谷)1階ホール

出演:田尾下哲

入場無料

ご参加方法:
件名に「オリエンテーション参加希望」と明記の上、
・参加希望日
・お名前
・参加人数
・連絡先(携帯電話・メールアドレス)
info@tttc.jpまでお送りください。

問:田尾下哲シアターカンパニー03-6419-7302(ノート株式会社内)
info@tttc.jp

田尾下哲シアターカンパニー
http://tttc.jp