《アッシジの聖フランチェスコ》〜稽古場レポートvol.1

今年創立55周年を迎えた読売日本交響楽団が、オリヴィエ・メシアン没後25周年にあたりシルヴァン・カンブルラン指揮のもと、メシアンの歌劇《アッシジの聖フランチェスコ》を上演(演奏会形式)する。

メシアンの作品としては、大規模な管弦楽曲で、20世紀音楽の代表的な傑作として知られる「トゥーランガリラ交響曲」が有名だが、《アッシジの聖フランチェスコ》はそれを上回る大規模なもの。管弦楽の規模に加え、多くの歌手と合唱を要することもあり、上演は困難をきわめる。そのため、世界初演をてがけた小澤征爾(1983年に初演)が国内で初上演した際にも完全上演はなされなかった(1986年に新日本フィルと第3、7、8景のみ演奏)。今回が全曲の日本初演となる。11月19、26日サントリーホール、23日びわ湖ホールで上演される。

カンブルランのもと、10月19日から行われてきた稽古もいよいよ最終段階。11月13日からは、オペラ《ルサルカ》を終えたばかりのオーケストラとの全体稽古が始まった。
(2017.11.13 横浜みなとみらいホール Photo:M.Terashi/TokyoMDE(写真は一部、読売日本交響楽団提供))

「このオペラはこれまで24回指揮をしており、私にとって大切な位置を占めるもの。4時間を超える長く複雑な作品だが、音楽の中に全てを感じ取らせるだけの力がある。曲が進行していくほどに、聴き手は大規模なオーケストラが語る力強さに引き込まれていく傑作」と語るカンブルラン。その情熱を余すところなく指揮棒に込め、熱気あふれる集中した稽古が重ねられた。

この日の稽古は第1幕(第1〜3景)と第2幕の第4、6景。

【第1幕より】

新国立劇場合唱団、びわ湖ホール声楽アンサンブルの合唱も含めた稽古全景
写真提供:読売日本交響楽団

【第1幕第3景より】

左)聖フランチェスコ=ヴァンサン・ル・テクシエ(バリトン) 右)兄弟マッセオ=エド・ライオン(テノール)
メシアン作品になくてはならない楽器、オンド・マルトノ。《アッシジの聖フランチェスコ》では3つのオンド・マルトノが使用される。
こちらは初演からオンド・マルトノの演奏に参加しているヴァレリー・アルトマン=クラヴリー
オンド・マルトノはホールの左右とオーケストラの後ろに配置される(大矢素子)
オンド・マルトノはホールの左右とオーケストラの後ろに配置される(小川遙)
聖フランチェスコ=ヴァンサン・ル・テクシエ(バリトン)
兄弟マッセオ=エド・ライオン(テノール)
メシアン作品に特徴的な多彩な打楽器群。
メシアン作品に特徴的な多彩な打楽器群
メシアン作品に特徴的な多彩な打楽器群
読響打楽器奏者、西久保友広
ウインドマシーンは、今回の演奏のために特注された
写真提供:読売日本交響楽団

【第2幕第4景より】

兄弟レオーネ=フィリップ・アディス(バリトン)
天使=エメーケ・バラート(ソプラノ)
兄弟エリア=ジャン=ノエル・ブリアン(テノール)
兄弟ベルナルド=妻屋秀和(バス)
左から)エメーケ・バラート、カンブルラン、エド・ライオン

【Information】
読響創立55周年記念
メシアン:歌劇《アッシジの聖フランチェスコ》(全曲日本初演/演奏会形式)

指揮:シルヴァン・カンブルラン
管弦楽:読売日本交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団、びわ湖ホール声楽アンサンブル

出演
天使:エメーケ・バラート
聖フランチェスコ:ヴァンサン・ル・テクシエ
重い皮膚病を患う人:ペーター・ブロンダー
兄弟レオーネ:フィリップ・アディス*
兄弟マッセオ:エド・ライオン
兄弟エリア:ジャン=ノエル・ブリアン
兄弟ベルナルド:妻屋秀和
兄弟シルヴェストロ:ジョン・ハオ
兄弟ルフィーノ:畠山 茂

*出演を予定していた兄弟レオーネ役のフィリップ・スライ(バリトン)は、体調不良のため出演できなくなりました。代わりに、フィリップ・アディスが出演します。(2017.11.10更新)

11/19(日)、11/26(日)各日14:00 サントリーホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390
http://yomikyo.or.jp/
11/23(木・祝)13:00 びわ湖ホール
問:びわ湖ホールチケットセンター077-523-7136
http://www.biwako-hall.or.jp/