シルヴァン・カンブルラン(指揮) 読売日本交響楽団

古典派と後期ロマン派の名交響曲を絶妙にカップリング

シルヴァン・カンブルラン ©読響
 シルヴァン・カンブルランが読売日本交響楽団の常任指揮者に就任したのは2010年のこと。もう7年にもなるということに驚いてしまう。これは単に「月日の経つのは早いもの」ということではなく、両者の作り出す音楽や意欲的なプログラミングがいまなお新鮮さを失っていないがゆえのこと。毎回の共演がエキサイティングであるという点で、在京オーケストラのなかでも屈指の名コンビが築かれている。
 そんなカンブルランと読響がこの春に聴かせてくれるのは、ハイドンの交響曲第103番「太鼓連打」とマーラーの交響曲第1番「巨人」というプログラム。「交響曲の父」とも呼ぶべきウィーン古典派のハイドンと、世紀末ウィーンで交響曲を解体再構築したマーラーという、ふたりの交響曲作曲家の名曲が組み合わされた。
 両曲の共通項はティンパニの活躍。ハイドンが大成功を収めた「ロンドン交響曲」のなかの一曲である交響曲第103番「太鼓連打」は、第1楽章の序奏がティンパニの連打で開始されることからこの愛称で呼ばれている。この連打は楽章の終盤でふたたび現れて、強い印象を残す。太鼓の連打はマーラーの「巨人」にも通じる。ふたりのティンパニ奏者を要し、とりわけ終楽章では力強い連打がくりひろげられ、大きな高揚感が生み出される。
 このコンビならではの精妙なアンサンブルと美しい響きも聴きもの。エキサイティングな公演になりそうだ。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ 2017年3月号から)

第196回 土曜マチネーシリーズ 4/8(土)14:00
第196回 日曜マチネーシリーズ 4/9(日)14:00
東京芸術劇場 コンサートホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390
http://yomikyo.or.jp/