読響のマチネーシリーズに、ドイツ仕込みのカペルマイスターが登場する。現在、ドルトムント歌劇場で第1指揮者と音楽総監督代理を兼ねる小林資典。東京藝大卒業後にドイツに渡り、各地の歌劇場で研鑽を積んできた実力派だ。2021年夏、「三大交響曲」と「三大協奏曲」で読響にデビュー。しっかりとした構築と鮮やかな躍動感が備わった演奏は高く評価された。
読響との来年1月の演奏会では、フランスとロシアの作品を取り上げる。1曲目は、シャブリエの「気まぐれなブーレ」。数々の瀟洒なピアノ曲を書いたシャブリエの代表作たるピアノ小品の管弦楽版だ。小林が読響からどのような色彩を引き出してくれるのか、注目したい。
そして、ヴァレリー・ソコロフの独奏で、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。円熟味を増してきたウクライナ生まれのヴァイオリニストが、艶やかな歌謡と鋭い技巧で客席を沸かせることだろう。
後半は、ストラヴィンスキーのバレエ音楽「ペトルーシュカ」だ。1947年版ならではの、きりっと引き締まったオーケストレーションをすみずみまで鮮明に響かせてくれるに違いない。歌劇場で培った多彩な表現が十二分に生かされる作品でもある。
また、東京芸術劇場は今秋より休館中のため、来年夏頃までマチネーシリーズは東京オペラシティに舞台を変える。このホールに響く読響サウンド。それもまた新鮮な体験となるはずだ。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2024年12月号より)
小林資典(指揮) 読売日本交響楽団
第273回 土曜マチネーシリーズ
2025.1/11(土)
第273回 日曜マチネーシリーズ
2025.1/12(日)
各日14:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390
https://yomikyo.or.jp