紀尾井ホールが、開館30周年を迎える2025年4月より、ホール名を「日本製鉄紀尾井ホール」に変更する。7月4日、周年事業とホール名改称について記者会見を行った。登壇者は日本製鉄株式会社執行役員総務部長・山根健嗣と、ホールを運営する日本製鉄文化財団の常務理事事務局長・内田勇人。
同ホールは、新日本製鐵株式会社(現・日本製鉄株式会社)の創立20周年記念事業として建設され、1995年4月2日にオープン。ふたつの特色ある音楽専用ホールを持ち、クラシック音楽と邦楽、両分野にわたる公演の企画・制作、ホール専属オーケストラ・紀尾井ホール室内管弦楽団(KCO)の運営など、我が国の音楽文化の発展に寄与してきた。これまでに9000回弱のコンサートが行われ、延べ400万人が来場(24年1月時点)している。
「日本製鉄紀尾井ホール」への改称は、30周年を大きな節目ととらえ、「一つのブランドとして日本製鉄を冠して、これからも音楽活動支援に寄与していきたい」との思いによるもの。会見では、そのほか記念施策について、ブランド・メッセージ「響け、桜の園から」と記念ロゴも発表された。万華鏡を模したロゴデザインは「演者たちそれぞれが舞台で表現するさま」と「30年の時の流れと、これからも感動が続いていく未来」を表現しているという。
25年8月からはホール大規模改修による長期休館と周年時期が重なるが(リニューアル・オープンは2027年予定)、その改修前の24年9月から25年7月末までを「開館30周年記念期間」と位置付け、記念公演を実施。主な公演として、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲を2日間で披露するジェイムズ・エーネス(24年11月)のほか、プログラムすべてを“ファンタジー(幻想曲)”で揃えた青木尚佳(ヴァイオリン、24年12月)、ピアノ・トリオ・フェスティヴァル第3弾として開催される「金川真弓・佐藤晴真・久末航トリオ」(25年2月)などが予定されている。また、KCO定期演奏会はこの期間に4回実施し(第140〜第143回)、25年3月には首席指揮者トレヴァー・ピノックとともに初の演奏会形式オペラ公演《コジ・ファン・トゥッテ》(第141回)に臨むほか、142回定期(25年4月)にはサッシャ・ゲッツェルが登場する。
なお、改修期間にあたる25年8月から26年12月までの主催公演は都内、他地区での開催が予定されている。25年9月(第144回)と11月(第145回)のKCO定期演奏会は東京オペラシティ コンサートホールで行われ、阪哲朗、ダンカン・ウォードがそれぞれ指揮台に立つ。
来年の桜の時期には新たな名称でホールの「第2章」がスタート。30周年のその先にも期待したい。
紀尾井ホール
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