ベルリンを拠点に国際的な活躍を重ねる指揮者・沖澤のどか。7月24日、常任指揮者を務める京都市交響楽団が会見を行い、沖澤との契約期間を延長することを発表した。
沖澤は、2023年4月より同楽団の第14代常任指揮者に就任。26年3月末までの任期が3年間延長され、29年3月末まで同ポストを担うことになる。京都市交響楽団の担当者は、延長の背景について「卓越した音楽性によるオーケストラの飛躍、子ども向けの演奏会の指揮・市内の音楽高校での指導など、若い人に向けた活動を通した地域の文化の充実、そして京都の文化的な魅力を世界に向けて発信するにあたり、沖澤さんは欠かせない人材だと考えています」と説明した。
7月27日に開催される定期演奏会のリハーサルを終えてから会見に出席した沖澤。契約延長に関しては、常任指揮者就任時から意識していたことを明かし、「3年という当初の任期では、一つひとつの演奏会を成功させることはできても、チクルスなどの大きなプロジェクトは即座に始めないと間に合いません。ですので、私としてはすぐにでも延長したかった(笑) 実際に、昨年4月の就任披露演奏会で大きな手ごたえを得たと同時に、長い時間をかけて掘り下げていくことがたくさんあると感じました。常任指揮者としてオーケストラを発展させていくために、今後は練習環境の整備や普段とは異なる毛色のコンサートの開催といったことにも目を向けていきたいと考えています」と今後のビジョンを語った。
演奏面に関してはこれまでに引き続き、王道/新しいレパートリーの両方から取り組んでいくという。
「京響のファンを増やし、ゆくゆくはすべての定期演奏会を売り切れにしたいです! 今は“沖澤のどかと京響がどういう音楽をやっているか”という好奇心で各地から多くの方にお越しいただき、私が指揮する公演はほぼソールドアウトに近い状態になっています。そういうお客様が、このオケを聴くために『そうだ、京都に行こう!』となるようにしていきたい。ここでしか味わえない“どっぷり音楽につかる経験”を、京都から日本全国、そして世界に発信できるように努めていきます」
会見には京都市長で同楽団の楽団長を務める松井孝治も出席。沖澤が出演する公演のため各地に足を運ぶほどのファンであることを明かしながら、京響とのコンビが発展していくための土壌作りを進めていきたいと意気込みを語った。文化の町・京都から今後、沖澤&京響がどのようにクラシック音楽の魅力を発信していくか、目が離せない。
写真提供:京都市交響楽団