林 美智子(メゾソプラノ) 第37回 霧島国際音楽祭

自然と美食の地で、多彩な歌を披露

©Toru Hiraiwa

©Toru Hiraiwa

 人気と実力を兼備したメゾソプラノ歌手・林美智子が、夏の霧島国際音楽祭で4公演に出演する。霧島は今年37回目を迎える日本で最も歴史ある音楽祭のひとつ。当地をはじめ鹿児島県内各地で3週間あまりにわたり、多種多彩なコンサートが開催される。
 2014年に初出演したときの印象は、「お客様が熱くて、地元の雰囲気がフレンドリーですし、そのうえ食べ物が素晴らしい(笑)」。今年も当然楽しみだ。
 まず7月16日の「日本の歌 名曲コンサート」は、鹿児島市内の宝山ホールで丸一日様々な公演が行われる「宝山ホール祭り」の幕開け。ソプラノの馬原裕子と共に「赤とんぼ」「この道」などを披露する。
「有名な曲に演奏機会の少ない名作を交えながら、日本の歌に親しんでいただく公演。シンプルでメッセージ性の強い曲を選びました。こうした選曲は大事なこと。日本の歌は、何の準備もなく共感でき、言葉で世界観を分かり合えますから」
 次いで7月17日の「仙巌園プレミアム・コンサート」(完売)は、島津家別邸の庭で聴く風情ある夕べ。“月”に関する歌などを、共演歴も長いギターの大萩康司とのコンビで聴かせる。
「歴史ある場所への畏敬の念や、見えざるものを表現させてくれる月への感謝の思いを込め、色々な言霊を感じながら、発信していく。これはとても意義あることです。ギターとの共演も大好き。大萩さんの音色と相まって自分の声ともフィットしますし、ライフワークにしたい武満徹さんの曲なども、奥深い世界を築くことができます」
 7月31日の「オペラ・ガラ・コンサート」は、4人の歌手と新国立劇場合唱団のアンサンブルが、主会場の「みやまコンセール」で行う公演。前半は各々が歌うオペラの名曲、後半は《カルメン》のハイライトという華麗なプログラムだ。
「前半に歌う《サムソンとデリラ》のアリアはメロディアスでいい曲ですし、《カルメン》はおなじみの名曲ばかり。アリアも重唱も合唱もありますので、楽しめると思いますよ。ちなみに以前舞台でカルメン役を演じたときは、固定観念から離れた“風を切って生きている”女性像にトライしました」
 そして8月3日の「キリシマ祝祭管弦楽団」。ソリストや首席奏者が居並ぶスーパー・オーケストラを下野竜也が振る本公演は、2009年に始まったベートーヴェン・ツィクルスの最終回を飾る第8番&第9番の豪華版。林はもちろん「第九」に出演する。
「『第九』は何十回も歌っていますが、シラーの詩のメッセージ性と声のエネルギーが物凄く強いので、毎回が新鮮。それに下野さんとは何回も共演していて、個人的なファンでもあります。音楽をグーと動かすカリスマ的な力と同時に、誠実さと緻密なバランス感覚があって、一体感のある音楽が生まれます」
 なお同音楽祭では、初の熊本での公演も、「こんなときこそ」との要望で実施するとの由。このほか、名演奏家の個性的なプロデュース公演などが並ぶ「音楽の散歩」(10公演)や、初めて昼夜2回行われる「ザビエル教会コンサート」は絶対のお薦めだし、音楽監督・堤剛のチェロ・リサイタルもむろん外せない。自然や温泉や美食と共に音楽を楽しむ贅沢な非日常を、ぜひ味わおう!
取材・文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年7月号から)

第37回 霧島国際音楽祭
7/15(金)〜8/7(日)
霧島国際音楽ホール(みやまコンセール)、宝山ホール、鹿児島市民文化ホール、ザビエル教会 他
問:霧島国際音楽ホール(みやまコンセール)0995-78-8000
  ジェスク音楽文化振興会03-3499-4530
http://www.kirishima-imf.jp