
8月12日、ひろしま国際指揮者コンクールの本選が広島市中区のJMSアステールプラザで行われ、第2位にイスラエルのメイター・ティロッシュ、イタリアのマウロ・マリアーニ、第3位に日本の松村詩史(しふみ)が入賞した。1位は該当者なし。審査員の一人である作曲家の細川俊夫が選出する細川賞、本選で演奏した広島交響楽団の団員が選ぶオーケストラ賞、観客投票による聴衆賞は、いずれもティロッシュが受賞した。

同コンクールは、2年に一度開催される「ひろしま国際平和文化祭」の音楽部門のメイン事業として2022年に行われた「次世代指揮者アカデミー&コンクール」が始まり。その後「ひろしま国際指揮者コンクール」と名前を変え、今回が3回目の開催となる。広島交響楽団の桂冠指揮者を務める下野竜也が同文化祭音楽部門のプロデューサーを務めており、第3回の審査委員長は井上道義、審査員には細川のほか、指揮の濱田芳通、元N響コンサートマスターの篠崎史紀、音響設計家の豊田泰久など多彩な審査員が名を連ねている。有望な若手指揮者の発掘・育成を目的として、単なる技術の評価や順位付けにとどまらず、平和学習やマスタークラスなどの講習会も行い、吹奏楽からオペラ、現代曲、交響曲まで幅広いジャンルが含まれる課題曲など、他のコンクールにないユニークな内容が特徴だ。

次世代を担う新進気鋭の指揮者を募り、今年は世界87人の応募者のなかから書類審査を通った6ヵ国16人が出場。一次予選(室内オーケストラ)が8月7、8日、二次予選(管弦アンサンブル)が9日に行われ、12日の本選では審査をくぐり抜けた3人がタクトを振った。本選の課題曲は、細川俊夫の「さくら(2021)オーケストラのための」、シューマンの交響曲第4番ニ短調。演奏を担ったのは広島交響楽団だ。

2位に入賞したメイター・ティロッシュは、17歳でイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団のソリストとして演奏した実績を持つ指揮者・作曲家。パーヴォ・ヤルヴィらが指導するヤルヴィ・アカデミーなどで学び、イスラエル初のオリジナル・クラシック・レパートリー専門の吹奏楽団を創設するなど、多角的な活動を行っている俊英。

同じく2位入賞のマウロ・マリアーニは、第4回アルメリア国際指揮者コンクール1位、ソフィア国際指揮者コンクール2位などの受賞歴を持ち、アスペン音楽祭でのJ.コンロン指揮者賞受賞やマーラー指揮者コンクールのファイナリスト選出など、国際舞台で注目を集めている。

3位入賞の松村詩史は慶應義塾大学文学部美学美術史学専攻を卒業後、東京音楽大学音楽学部作曲指揮専攻で学び、今年からセントラル愛知交響楽団のアソシエイトコンダクターに就任した若手の有力株だ。
広島の地で音楽と平和に向き合い、技術の競い合いにとどまらない多角的な経験を重ねたコンクール出場者たち。世界へ羽ばたく若い才能の、今後の活躍に大きな期待が集まる。
取材・文:編集部
ひろしま国際指揮者コンクール
https://hiroshimafest.org/music/conductor_competition/

