国内外でオーケストラの指揮台に数多く立ってきた日本を代表する指揮者の佐渡裕と、福岡県立育徳館中学・高等学校管弦楽部の生徒たちがベートーヴェン「第九」に挑んだ6年間の軌跡を描くドキュメンタリー映画『キセキの第九』がの劇場公開が決定した。12月5日にまず、福岡のKBCシネマ1・2、小倉昭和館で先行上映が開始され、その後、12月12日より東京・ユーロスペースほか全国で順次公開される。

出会いは、2018年に佐渡が九州ツアーの合間に福岡県行橋市を訪れた際に、隣のみやこ町にある育徳館中学・高等学校の管弦楽部が歓迎演奏としてブラームスの交響曲第1番を演奏したことに遡る。大曲に挑む彼らのひたむきな姿に心打たれた佐渡は、思わずその場で指導を始めてしまったというが、その出会いをきっかけに、「地元に音楽の喜びを届け、ティーンエイジャーが世の中を動かすことを証明する」という約束のもと、演奏会計画が動き出した。

生徒たちが選んだ曲は、ベートーヴェンの交響曲第9番。地域住民や地元の合唱団、企業の協力を得て、学校と地域が一体となって準備が進められた。しかし、2020年春に予定されていた演奏会は、パンデミックによって延期を余儀なくされる。翌21年にようやく佐渡との共演は叶ったものの、感染対策により合唱を伴う「第九」は演奏できず、別の楽曲に変更。当時の高校生たちは、「第九」を実現できないまま卒業することになった。

それから2年後の2023年、プロジェクトが再始動する。かつて先輩たちの姿を見ていた中学生は高校生となり、その思いを受け継ぐことに。さらに卒業生たちも再び集まり、2024年秋、佐渡との6年越しの約束がついに実現した。

本作は、もともと2024年12月にKBC九州朝日放送で放送された番組を映画化したもので、6年間の軌跡を記録した115分のドキュメンタリー。日本を代表する指揮者と10代の若者たちが、一つの演奏会を形にしていく過程を追う。佐渡は「第九の歌詞にある『不思議な力で結び合わされ、すべての人が兄弟になる』瞬間を、スクリーンを通じて多くの方に御覧いただけたら幸せです」と語る。長期間にわたってカメラを回し続けたKBCの臼井賢一郎監督も、「本番で学生たちがタクトを見つめる『眼』はあまりにも美しかった。穏やかならざる世界の今にあっても輝く何かを感じ取ってほしい」と言葉を寄せている。語りは福岡出身の椎名林檎。世代を超えて一つのステージを実現していくまでの時間が、スクリーンに刻まれている。

【Information】
◎映画『キセキの第九』
出演:佐渡裕 育徳館管弦楽部のみなさん
監督・プロデューサー:臼井賢一郎
語り:椎名林檎
撮影:野中志郎 編集:北岡祐典 製作:KBC九州朝日放送
後援:福岡県みやこ町 全日本高等学校オーケストラ連盟 助成:ふくおか県芸術文化祭助成事業
協賛:朝日新聞 JR九州 JR博多シティ 第一交通産業グループ 有限会社ウイル 福岡銀行 九州電力 シャボン玉石けん ドーワテクノス 宮田運送 めがねステージおかざき 九州交響楽団
配給:太秦 【2026|日本|115分|ドキュメンタリー】 ©KBC九州朝日放送
