急成長を続ける台湾エバーグリーン響&ズヴェーデンが関西初上陸! 若き覇者エリック・ルーとの共演で魅せる至高の響き

左:ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン
右:エリック・ルー ©rajchert_lukasz

 台湾のエバー航空や長栄海運を傘下とする大企業、エバーグリーン・グループ(長栄集団)が有する、世界でも珍しい民間財団所属のオーケストラ、エバーグリーン交響楽団。2025年からアムステルダム生まれの名指揮者、ヤープ・ヴァン・ズヴェーデンをアーティスト・イン・レジデンスに迎え、台湾のプロオケとして歴史はもっとも若いながら、国際的発展を急速に進める。

 去る7月に東京と新潟でオール・マーラー・プログラムを披露したところだが、10月にはズヴェーデンとともに関西に初上陸。2025年ショパンコンクールの覇者、エリック・ルーをソリストに迎えて公演を行う。

 ルーが演奏するのは、自ら希望したというチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番。彼のずしりと重く輝く音、詩的で繊細な感性で紡ぐチャイコフスキーは魅力的に違いない。ちなみにルー自身はアメリカ育ちだが、父の故郷は台湾の高雄。オーケストラとはすでに共演経験もあるというので、コミュニケーションは万全だろう。

 そして幕開けで演奏されるラヴェルの「ラ・ヴァルス」、後半に置かれたショスタコーヴィチの交響曲第5番と、ズヴェーデンの卓越した統率力、鮮烈なリズムを生み出す力が発揮される作品が並ぶ。弦楽器セクションは、財団が所有するストラディヴァリウスやグァルネリといった名器のサウンドも聴きものだといい、民間財団所属という特殊な背景が表れていて興味深い。急成長中のオーケストラの今の音を聴いておきたい。

文:高坂はる香

(ぶらあぼ2026年10月号より)

ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン(指揮) × エリック・ルー(ピアノ)
「煌めきの奥に」 エバーグリーン交響楽団
2026.10/28(水)19:00 大阪/ザ・シンフォニーホール
10/30(金)19:00 京都コンサートホール
問 大阪アーティスト協会06-6135-0503
https://artists636.wixsite.com/my-site


高坂はる香 Haruka Kosaka

大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動。雑誌やCDブックレット、コンクール公式サイトやWeb媒体で記事を執筆。また、ポーランド、ロシア、アメリカなどで国際ピアノコンクールの現地取材を行い、ウェブサイトなどで現地レポートを配信している。
現在も定期的にインドを訪れ、西洋クラシック音楽とインドを結びつけたプロジェクトを計画中。
著書に「キンノヒマワリ ピアニスト中村紘子の記憶」(集英社刊)。
HP「ピアノの惑星ジャーナル」http://www.piano-planet.com/