
神奈川フィルハーモニー管弦楽団が横浜市内で記者会見を開き、2027-28シーズン(2027年4月~28年3月)の主催公演ラインナップを発表した。会見には、沼尻竜典(音楽監督)ら5人が登壇。新たなシーズンに向けた意気込みやプログラムの狙いについて語った。
会見の冒頭では、上野孝理事長が神奈川フィルの活動拠点である横浜みなとみらいホールが2028年4月から改修休館に入ることに触れ、「当楽団にとって大変厳しい影響を及ぼすと危惧しているが、全力を挙げて乗り切っていく」と、地域に根差した活動を継続する力強い決意を表した。
続いて、沼尻音楽監督と榊原徹音楽主幹の解説により、新シーズンのプログラム詳細が発表された。「みなとみらいシリーズ」(全9回)、「音楽堂シリーズ」(全4回)、「ミューザ川崎シリーズ」(全3回)というお馴染みのシリーズに加え、セミステージ形式のオペラ公演「Dramatic Series(ドラマティック・シリーズ)」を引き続き実施。特に注目したいのは「Dramatic Series(ドラマティック・シリーズ)」で、今年はプッチーニの歌劇《ラ・ボエーム》を取り上げる。沼尻指揮のもと、佐藤康子や宮里直樹ら国内のトップ歌手が所属の垣根を超えて集結。沼尻は「日本のオペラのレベルをキープし、生き残りを見出していく試みの一つ」と強い意気込みを語った。

ラインナップを解説していく沼尻と榊原徹音楽主幹
横浜みなとみらいホールで開催される「みなとみらいシリーズ」では、意欲的なプログラムが目白押し。27年4月の開幕公演(第422回)は、沼尻の指揮でシャブリエ「楽しい行進曲」と、ラヴェル「ダフニスとクロエ」全曲(楽団初演)を神奈川ハーモニック・クワイアの合唱を交えて披露する。5月(第423回)は広上淳一が登場し、チェロの宮田大とともに恩師・尾高惇忠の「チェロ協奏曲」を楽団初演。後半ではシューベルトの交響曲第8番「グレイト」を演奏。沼尻いわく「年を重ねてこそ面白い曲」というこのシンフォニーを、円熟期にある広上はどのように表現するのか、注目したい。神奈川フィルと3回目の共演となるダニエル・ライスキンは10代の気鋭ピアニスト、ソフィア・リュウを迎え、グラズノフの交響曲第5番(楽団初演)などを取り上げる(第424回)。9月(第425回)は、沼尻が武満徹「系図」とR.シュトラウス「家庭交響曲」(楽団初演)を指揮。また、28年1月(第428回)には同じく沼尻指揮のもとウィーン・フィルのコンサートマスターであるアルベナ・ダナイローヴァがベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を披露するほか、後半には大編成によるシェーンベルクの交響詩「ペレアスとメリザンド」(楽団初演)を演奏するなど、シーズンを通して新作の委嘱作品などを含めば10曲以上の初演奏を行う構成となっている。
ミューザ川崎シンフォニーホールでのシリーズ(ミューザ川崎シリーズ)はこれまで、「Beethoven Ring(ベートーヴェン・リンク)」をテーマに、ベートーヴェンが2027年に没後200年を迎えることを意識して展開されてきた。27年6月(第7回)に小泉和裕が、ベートーヴェンのレガシーを受け継ぎつつ、ロマン派音楽への道を切り拓いたベルリオーズの「幻想交響曲」などを、翌28年3月(第9回)は沼尻が、巨匠・清水和音のピアノで迫力のベートーヴェン「皇帝」とブルックナーの交響曲第6番を披露する。
神奈川県立音楽堂での「音楽堂シリーズ」は、「Classic Modern(クラシック・モダン)」がコンセプト。5月は鈴木優人がチェンバロの弾き振りと共に、首席ソロ・コンサートマスター石田泰尚との共演でヴィヴァルディ「四季」を取り上げる。7月は阪田知樹が弾き振りでショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番(トランペット:林辰則[同楽団首席])などを演奏するほか、テキストを伴う自身の新作を初演する。ソリストと指揮者、人気アーティストの二つの顔を味わえるコンサートとなりそうだ。

このほか、年末には横浜みなとみらいホール、ミューザ川崎シンフォニーホールで、恒例の「第九」の特別公演(全2回)が予定されている。
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
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