
Photo: Paul Yates
9月8日、第37回「高松宮殿下記念世界文化賞」(主催:公益財団法人 日本美術協会)の受賞者が発表され、音楽部門には指揮者のヘルベルト・ブロムシュテットが選ばれた。
第37回 高松宮殿下記念世界文化賞 受賞者
◎絵画部門:ジェニー・ホルツァー(アメリカ)
◎彫刻部門:アンディ・ゴールズワージー(イギリス)
◎建築部門:ダニエル・リベスキンド(アメリカ)
◎音楽部門:ヘルベルト・ブロムシュテット(スウェーデン)
◎演劇・映像部門:ケイト・ブランシェット(オーストラリア)
第29回 若手芸術家奨励制度 対象団体(「世界文化賞」と同時に発表)
ラ・スルス・ガルースト協会(フランス)
本賞は1988年、日本美術協会設立100周年を記念して創設された。前総裁・高松宮殿下の「世界の文化芸術の普及向上に広く寄与したい」という遺志を継ぎ、絵画、彫刻、建築、音楽、演劇・映像の5分野で世界的に優れた功績を残した芸術家に授与され、受賞者には顕彰メダルと感謝状、賞金1500万円が贈られる。
99歳、世界最高齢の現役指揮者として唯一無二の存在感を示すヘルベルト・ブロムシュテット。1927年にアメリカで生まれ、2歳の時に両親の祖国・スウェーデンへと移住。同国での音楽教育を経て、ニューヨークのジュリアード音楽院でレナード・バーンスタインに指揮を学び、1954年にプロの指揮者としてデビュー。以降、北欧や欧米の名門オーケストラのポストを歴任し、その国際的な名声を高めた。日本との縁も深く、NHK交響楽団とは1981年の初共演以来、長きにわたる信頼関係を築き、同楽団の桂冠名誉指揮者を務めている。今年の10月にも同楽団への出演が予定されていたが、感染症に起因する健康面の理由から、6月に来日の見合わせを発表。その際に寄せられたメッセージが、日本の多くのクラシックファンの胸を打ったことは記憶に新しい。
10月末には本賞の授賞式典が予定されているが、上述の理由から残念ながら欠席となる。そこで、会見で上映された受賞者の紹介ビデオインタビューで、ブロムシュテット本人の口から語られた言葉を、本記事の締めくくりとしたい。
作曲家が残した楽譜は音楽家にとって聖書です。オーケストラの同僚たちは同じ資質を持っています。楽譜に記された音楽の解釈を助けるために与えられた、天使のような存在です。
(ヴァイオリン奏者から指揮者に転向するきっかけとなった、少年時代に聴いたコンサートを振り返りながら)
初めて聴いたブルックナーの交響曲は、音楽を愛する人なら誰もが知っている、ホルンの呼びかけで始まります――こんなふうに響くのです(交響曲第4番の冒頭を口ずさむ)。2ヵ月経っても感動は変わりませんでした。新しい世界が私の前に開かれたのです。
最も大切なことは楽譜に書き込むことすらできません。書き表すことはできないのです。それは感じ取らなければなりません。演奏しているその瞬間に、自分の演奏の仕方を調整し、作曲家について自分が抱いている全体像にふさわしいものにしなければならないのです。
私たちの仕事は、作曲家の作品を可能な限り最良の形で提示することです。言うのは簡単ですが、そうした自分なりの立場や境地にたどり着くには、一生をかけることになるのです。

©Konrad Stöhr
文:編集部
高松宮殿下記念世界文化賞
https://www.praemiumimperiale.org



