矢野雄太は東京藝術大学・同大学院を経て、ミラノで研鑽を積んだピアニスト。指揮者としても充実したキャリアを歩んでおり、多くの国際的なアーティストと共演を重ねてきた。本盤はそんな彼のピアニストとしてのデビュー・アルバムとなる。収録曲は矢野が特に愛奏してきたシューマン、なかでも“歌う”ことに特化した楽曲でまとめられている。歌手との共演も多い彼ならではのフレージングの自然さ、そしてニュアンスの多彩さが光る演奏。とりわけ最晩年の「暁の歌」では、デリケートなタッチと見事な響きのコントロールも際立っている。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2026年6月号より)
【information】
CD『Schumann/矢野雄太』
シューマン:アラベスク、子供の情景、花の曲、「ミルテの花」より〈くるみの木〉(クララ・シューマン編)、暁の歌、献呈(リスト編)
矢野雄太(ピアノ)
妙音舎
MYCL-00073 ¥3410(税込)

長井進之介 Shinnosuke Nagai
国立音楽大学大学院修士課程器楽専攻(伴奏)修了を経て、同大学院博士後期課程音楽学領域単位取得。在学中、カールスルーエ音楽大学に交換留学。アンサンブルを中心にコンサートやレコーディングを行っており、2007年度〈柴田南雄音楽評論賞〉奨励賞受賞(史上最年少)を機に音楽ライターとして活動を開始。現在、群馬大学共同教育学部音楽教育講座非常勤講師、国立音楽大学大学院伴奏助手、インターネットラジオ「OTTAVA」プレゼンターも務める。
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