藤岡幸夫が新日本フィルと邦人作曲家の魅力を惹き出す!

左:藤岡幸夫 ©Shin Yamagishi
右:木嶋真優 ©Kazumi Kurigami

 山田耕筰が日本人として最初の本格的な交響曲を作曲したのは1912年。それから一世紀以上経ち、数々の邦人作曲家が管弦楽曲を書いてきた。7月3日、4日開催の新日本フィル「すみだクラシックへの扉」は「〈日本〉のオーケストラ音楽入門」と題し、聴き応えのある邦人作品3曲をとりあげる注目の公演だ。指揮者の藤岡幸夫によるこだわりの選曲は名作というだけではなく、親しみやすく聴き映えのする曲ばかりだ。

 芥川也寸志(1925〜89)の「交響管絃楽のための前奏曲」は東京音楽学校の卒業制作として書かれた作品。初演は作曲家の死後、1990年に行われた。低音や反復モチーフの使い方などに師・伊福部昭(1914〜2006)の影響が指摘されている。続く伊福部の「ヴァイオリンと管絃楽のための協奏風狂詩曲」(ヴァイオリン協奏曲第1番)では多方面で活躍中の木嶋真優が共演。ロマのヴァイオリン音楽のような民俗性を備えつつドラマ性もある作品で、華やかな技巧も含まれる。さらに伊福部のトレードマークでもある映画『ゴジラ』のあのフレーズも登場する。木嶋の勢いのあるソロに期待したい。最後を飾るのは吉松隆(1953〜)の交響曲第3番 op.75。30年近く前から実演、録音双方で吉松作品を積極的に取り上げてきた藤岡。すでにBBCフィルと録音している交響曲第3番は吉松らしいポップな感触もあり、聴きどころたっぷりなスケールの大きい一曲だ。日本のオーケストラ作品の魅力に開眼するコンサートとなるだろう。

文:伊藤制子

(ぶらあぼ2026年6月号より)

藤岡幸夫(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団
すみだクラシックへの扉 第41回
2026.7/3(金)、7/4(土)各日14:00 すみだトリフォニーホール
問:新日本フィルチケットボックス 03-5610-3815
https://www.njp.or.jp


伊藤制子 Seiko Ito(音楽学・音楽評論)

東京藝大、同大大学院修了。現在、東邦音大・同大学院、静岡文化芸大、日大講師。日仏の20世紀以後の音楽、音楽美学を研究するかたわら、音楽評論、海外オペラ取材なども行う。2017年のモンテヴェルディ生誕450年イヤーにヴェネツィアのフェニーチェ歌劇場のモンテヴェルディ三部作の上演を取材。音楽以外のライフワークは旅と俳句。奈良、ヴェネツィアなどで史跡を探索するのが趣味。