パーヴォ・ヤルヴィのシューベルト・シリーズ第2弾。交響曲第5番では、19歳のシューベルトのしなやかな感性が、美しい旋律に乗って、優雅に羽ばたく。平和な緩徐楽章も思い詰めたようなメヌエットもいい。フィナーレの推移楽句では、激しい感情が爆発する。ドイツ・カンマーフィルのリズムの切れ味と強靭なトゥッティが炸裂する。第6番の変化に富んだ構築は、当時流行していたイタリア・オペラからの影響もあるようだ。終楽章のあてどなく彷徨する様は「さすらい人」シューベルトを予感させる。多様な表現を追求し試みるところはヤルヴィらしい。ライナーノーツも充実して読み応えがある。
文:横原千史
(ぶらあぼ2026年6月号より)

【information】
SACD『シューベルト:交響曲第5番&第6番「小ハ長調」/パーヴォ・ヤルヴィ&ドイツ・カンマーフィル・ブレーメン』
シューベルト:交響曲第6番「小ハ長調」、同第5番
パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)
ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン
ソニーミュージック
SICC 10490 ¥3300(税込)
