クリスマスが近づくとパイプオルガンの豊かで温かな音を聴きたくなる。この気持ちにピッタリ寄り添った、愛知県芸術劇場冬の恒例シリーズ「クリスマスはオルガンだ!」は楽しみな企画だ。パイプオルガンが他の楽器とアンサンブルするというのがこのシリーズの特徴だが、今回はコンサートホールの舞台正面に設置されているパイプオルガン本体の鍵盤とステージ上の演奏台コンソールとのアンサンブル、つまりオルガンとオルガンの共演となる。

カール・シュッケ・ベルリン・オルガン製作所製(ドイツ)
愛知県芸術劇場コンサートホールのパイプオルガンは、パイプ総本数6,883本、93種類のストップ(音色)、五段の手鍵盤とペダル鍵盤1段の壮大な楽器である。1992年の開館からこれまで33年あまり、バロックの荘厳な響きから現代曲まで、ときには小さな子どもたちも気楽に聴けるようなアニメの主題歌など、多彩な音楽で楽しませてくれた。
今回の演目はバッハのコラール、20世紀のペータースやレールンドルファーのコラール、そして現在活躍するカールステン・クロムプ、柿沼唯、ハンス・アンドレ・シュタムといった、様々な時代の教会音楽が組み合わされている。また、クリスマスキャロルはドイツのラルフ・ベルティンクによる組曲という形で堪能できる。

演奏するのは東京芸術劇場専属を長く務めた小林英之。共演は同じくオルガニストの湯口依子。小林は2000年以来25年ぶりに愛知県芸術劇場主催公演への登場となる。二つの鍵盤がどんなふうに響きの光を交錯させるのか。イブとクリスマスに、やさしく厳かなプレゼントになりそうだ。
文:水野みか子
クリスマスはオルガンだ!2025
~オルガン・アンサンブルで聴くパイプオルガンの響き~
2025.12/24(水)19:00、12/25(木)15:00
愛知県芸術劇場 コンサートホール
出演/
オルガン:小林英之、湯口依子
司会:渡邊晶子(FM AICHIパーソナリティ)
曲目/
C.クロムプ:コラール「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」*
J.S.バッハ:コラール「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」
2つの手鍵盤とペダルで BWV659
2つのバスとコラール BWV660
オルガノ・プレノで、ペダルでコラール BWV661
柿沼唯:2台のオルガンのための前奏曲「元后あわれみの母(サルヴェ・レジーナ)」*
H.-A. シュタム:コラール「一輪のばらが咲いて(エッサイの根より)」
F. レールンドルファー:コラール 変奏曲「ベツレヘムなるきよき御子に」
F. ペータース:コラール「甘き喜びのうちに」「暁の星はいと美しきかな」
( “カルミナ・フローリ” より) op.68/5, 7 *
R. ベルティンク:有名なクリスマスキャロルによる組曲( 1995) *
「もろびとこぞりて」
「御使いうたいて」
「天には栄え(聴け!天の使いの紡ぐ御歌)」
「神の御子は今宵しも(Adeste Fideles)」
「ベツレヘムの小さな町よ(ああベツレヘムよ)」
「牧人ひつじを」
*オルガン・アンサンブル
問:愛知県芸術劇場052-211-7552
https://www-stage.aac.pref.aichi.jp


