
昨秋に日本での活動を本格化した注目のギタリスト斎藤優貴(1997年生まれ)のソロ・リサイタル。2021年、世界三大ギター・コンクールのひとつ「ミケーレ・ピッタルーガ国際ギターコンクール」で最高位(1位なしの2位)を得るなど、国際コンクールでなんと55回にのぼる優勝・入賞歴を持つ(日本人ギタリスト最多)。2016年から8年間はワイマールとデュッセルドルフの音楽大学で学びながら活動していた。
プログラム前半はドイツ・バロックのリュート奏者ヴァイスや、ロマン派時代のフランスのギタリスト、コストの作品など、留学中に学び、海外コンクールでも弾いてきた曲を聴かせる。そして後半は、生誕150年のラヴェルが軸。聴きどころは斎藤自身が編曲した「高雅で感傷的なワルツ」だろう。この曲をギター1本で聴くのはかなりレアな体験だ。8月に彼の演奏で聴く機会があったが、原曲の多彩な和声感を維持しつつ、内省的で繊細な情感は、この曲が最初からギターのために書かれたのではないかと錯覚させるほどだった。
斎藤から読者へメッセージが届いた。
「自身の過去、現在、そして未来にも思いを巡らせるリサイタルになることを願っています。世界各地で評価をいただいた演奏を、今後日本でどのように表現し続けていくのか、その探求の第一歩として、一音一音に込めた思いを感じ取っていただけるよう演奏します」
文:宮本 明
(ぶらあぼ2025年12月号より)
帰国記念 斎藤優貴 ギター・リサイタル ~覇者への軌跡と未来への挑戦~
2025.12/27(土)14:00 ヤマハホール
問:1002(イチマルマルニ)03-3264-0244
https://www.1002.co.jp

