「今週末、この素晴らしい室内オーケストラと出会い、一緒にこの素晴らしいレパートリーに取り組めることは、本当に大きな喜びです」
そう語るのは、11月21日(金)、22日(土)に行われる紀尾井ホール室内管弦楽団(KCO)の第145回定期演奏会で指揮台に立つ、ダンカン・ウォードだ。1989年イギリス生まれ。サイモン・ラトルに才能を認められ、ベルリン・フィル・カラヤン・アカデミーの初代指揮者を務め、ザルツブルク音楽祭、メトロポリタン歌劇場などに次々にデビュー、着実にキャリアを積ねている期待の俊英だ。

KCOデビューとなる本公演では、自国の作曲家ブリテンの歌劇《ピーター・グライムズ》より「4つの海の間奏曲」に、20世紀を代表するベルクのヴァイオリン協奏曲、そしてブラームスの交響曲第1番という、オール「B」プログラムを披露する。リハーサルの合間をぬって、今回のプログラムについて想いを訊いた。
「まさに名曲ぞろいです。どれも傑作でありながら、全体としてとてもよく調和しています。すべての作曲家の名前が“B”で始まり、どれも輝かしい作品ばかりです。
さらに特別なのは、今回が紀尾井ホール室内管弦楽団にとってブラームスの交響曲第1番を初めて演奏する機会だということ。この偉大な作品に新鮮な気持ちで向き合えることにとてもワクワクしています。弦楽器の編成は、ブラームスが世界初演した当時の、カールスルーエでの編成にとても近い人数になっています。室内オーケストラならではの視点で、この作品の奥深さに迫れることは本当に贅沢な体験です」

提供:日本製鉄紀尾井ホール
そしてベルクの独奏を務めるのは、世界を代表するヴァイオリニストのひとり、ヴィクトリア・ムローヴァ。来日回数も多い彼女だがKCO初登場にして、この名曲を日本で初披露するというのも注目だ。公演にむけての期待を次のように語る。
「とても素晴らしいオーケストラだと思います。特にリハーサルの最後、ヴァイオリンと一緒にユニゾンで演奏していたときです。ある瞬間に『なぜヴァイオリンが一本しか聞こえないんだろう』と思いました。それほど音程が揃っていて、本当に驚きました。
ベルクのヴァイオリン協奏曲は、実は、27年間演奏していなかったのです。再び取り組めるのは本当に楽しみで、そういう意味でも特別な機会です」
本公演への想いを「贅沢」で「特別」と言葉にしたふたり。紀尾井ホール室内管と紡ぐ音色を東京オペラシティ コンサートホールで存分に味わいたい。
文:編集部
紀尾井ホール室内管弦楽団 第145回 定期演奏会
2025.11/21(金) 19:00、11/22(土)14:00
東京オペラシティ コンサートホール
出演
ダンカン・ウォード(指揮)
ヴィクトリア・ムローヴァ(ヴァイオリン)
曲目
ブリテン:歌劇《ピーター・グライムズ》〜4つの海の間奏曲 op.33a
ベルク:ヴァイオリン協奏曲
ブラームス:交響曲第1番ハ短調 op.68
問:紀尾井ホールウェブチケット webticket@kioi-hall.or.jp
https://kioihall.jp



