文京シビックホール「夜クラシック」に笹沼樹・實川風が登場

左:笹沼 樹 ©Taira Tairadate
右:實川 風 ©Taira Tairadate

 文京シビックホールの人気シリーズ「夜クラシック」に、チェロ笹沼樹とピアノ實川風が登場。ソリストとして大活躍中の笹沼は、カルテット・アマービレ、東響客演首席奏者など、様々な編成でも要職にある名手。實川もソリスト活動に留まらず、弦とのアンサンブル、さらには作曲家としての活躍も際立っている。人気と実力を兼備した、好調の俊英たちの共演は期待大。

 プログラムがまた興味深い。基本は多彩なラテン・プロで、ドビュッシーのチェロ・ソナタ、ピアソラ「ル・グラン・タンゴ」などの楽しみな名作が並ぶ中、目を引くのがカサド「チェロとピアノのためのソナタ」。彼の無伴奏組曲は著名だが、デュオのソナタの実演は貴重。熱いスペイン情緒に覆われ、チェロの技巧にピアノの表現も際立つ逸品で、彼らの演奏で聴けるのは好機だ。ここに實川の新作「遊戯」の初演が加わる。弦楽器も知悉する實川の作品には独特の情趣があり、この日は気心知れたコンビがどんな「遊戯」を聴かせるのか。広く注目すべきステージだ。

文:林 昌英

(ぶらあぼ2025年8月号より)

夜クラシック Vol.38 笹沼 樹(チェロ)・實川 風(ピアノ)
2025.10/3(金)19:00 文京シビックホール
問:シビックチケット03-5803-1111
https://www.b-academy.jp/hall/


林 昌英 Masahide Hayashi

出版社勤務を経て、音楽誌制作と執筆に携わり、現在はフリーライターとして活動。「ぶらあぼ」等の音楽誌、Webメディア、コンサートプログラム等に記事を寄稿。オーケストラと室内楽(主に弦楽四重奏)を中心に執筆・取材を重ねる。40代で桐朋学園大学カレッジ・ディプロマ・コース音楽学専攻に学び、2020年修了、研究テーマはショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲。アマチュア弦楽器奏者として、ショスタコーヴィチの交響曲と弦楽四重奏曲の両全曲演奏を達成。