セルゲイ・ナカリャコフ(トランペット/フリューゲルホルン)

この夏、稀有の天才の進化を知る

©Thierry Cohen

©Thierry Cohen

 何と10年ぶり! あのセルゲイ・ナカリャコフの東京でのトランペット・リサイタルが、かくも久々とは驚きだ。彼は、昨年札幌のPMFでヴィトマンの超難曲を日本初演しているし、近年は別府アルゲリッチ音楽祭でも来日している。だが2005年を最後に首都でリサイタルはなく、協奏曲を含めても登場自体が久方ぶり。まさしく“待望の”公演と言うほかない。むろん彼は、驚愕の超絶技巧、循環呼吸による切れ目のないフレージング、フリューゲル・ホルンでの柔らかな歌い回し等で、10代から圧倒的支持を得ている人気奏者。ヴァイオリン他の協奏曲にも挑むなど未踏の地を歩んできた。
 今回は、フリューゲル・ホルンとトランペットの2本立て。前者ではシューマンやバルトークなどの別楽器用の作品(主にチェロのレパートリー)で深くなめらかな歌を、後者では超絶的なアーバンの作品などでヴィルトゥオジティの極致とブリリアントな響きを聴かせる。これは、10年の渇きを癒すと同時に、30代後半に達した天才奏者の熟成&深化を知り得る、万人注目の公演だ。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年6月号から)

7/3(金)19:00 すみだトリフォニーホール
問 トリフォニーホールチケットセンター03-5608-1212
http://www.triphony.com