
高度なテクニックと深い楽曲理解で知られるピアニストの小菅優が「神戸市室内管弦楽団 Selection」に登場する。2022年に行われ好評を博した「小菅優 弾き振りの魅力」に続く第2弾で、小菅と神戸市室内管の魅力が凝縮された1時間休憩なしのコンサートだ。
今回取り上げるモーツァルトのピアノ協奏曲第25番はこの作曲家のコンチェルトの中でも特に晴朗な響きに溢れた作品。そして注目したいのが、前半に置かれた藤倉大のピアノ協奏曲第3番「インパルス」アンサンブル版(世界初演)である。これは2018年に小菅と山田和樹指揮、モンテカルロ・フィルによって世界初演された同名協奏曲を、藤倉が神戸市室内管のために新たに弦楽器奏者各パート1名、1管編成に改訂するもの。「お互いの刺激から結合へ変動し、極めて官能的にピアノとオーケストラは一体化したり離脱したりする」作品であると小菅は語っている。彼女のイマジネーション豊かな弾き振りで藤倉とモーツァルトの宇宙が時空を超えて出会う、そんな刺激的なコンサートになりそうだ。
文:逢坂聖也
(ぶらあぼ2025年7月号より)
神戸市室内管弦楽団 Selection Vol.7 『小菅 優・最前線 in KOBE』
2025.8/23(土)14:00 神戸市立東灘区文化センター うはらホール
問:神戸文化ホールプレイガイド 078-351-3349
https://www.kobe-bunka.jp/hall/

逢坂聖也 Seiya Osaka
大阪芸術大学卒業後、大手情報誌に勤務。映画を皮切りに音楽、演劇などの記事の執筆、配信を行う。
2010年頃からクラシック音楽を中心とした執筆活動を開始。現在はフリーランスとして「ぶらあぼ」「ぴあ」「音楽の友」などのメディアに執筆するほか、ホールや各種演奏団体の会報誌に寄稿している。
大阪府豊中市在住。