
真夏、霧島で音楽に浸る。今年46回目、長い歴史をもつ霧島国際音楽祭は、堤剛音楽監督のもと、トップクラスのアーティストが集結し、17日間にわたり数多くのコンサートを開催する。昨年は「キリシマ祝祭管弦楽団」の東京公演も実現し、豪華な顔ぶれと卓越した力量を示した。出演者によるマスタークラスも用意され、ここから羽ばたく若手も多い。鹿児島市内の複数の施設も含めて、多くのコンサートが開かれるが、本稿では主な公演を駆け足でご紹介。
若手からベテランまで多世代の音楽家が集う
7月19日の「宝山ホール祭り」と題された公演では、「SUPER BRASS STARS 中川英二郎×エリック・ミヤシロ×本田雅人」のスタープレイヤーたちが、吹奏楽やジャズで華々しく祭りを賑わす。

7月20日の「オープニング・コンサート」は、みやまコンセールで堤剛音楽監督の文化勲章・南日本文化賞受章を記念する公演として、J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲を。堤の薫陶を受け、いまや若手の筆頭的な存在として活躍する笹沼樹と上村文乃も参加して、3人で4曲に真正面から取り組む。
26日と27日は、「音楽の散歩」シリーズが2公演ずつ開かれる。(1)は昨年の東京公演にもソリストとして出演した俊英ピアニスト谷昂登が、カルテット・アマービレやN響首席コントラバス奏者の吉田秀とともに、ショパンの協奏曲第1番を奏でる。(2)は人気ギタリスト村治佳織とヴァイオリニスト川久保賜紀による豪華デュオで、モーツァルト、パガニーニからピアソラ、久石譲までを聴かせる。(3)は霧島名物の「チェロ・オーケストラ」。オープニング出演の三者をはじめ名チェリストたちが集結して、カザルスやヴィラ=ロボスの楽曲で奥深きチェロの響きを。(4)はマスタークラス受講生の参加するキリシマ・ストリング・アンサンブルが、鈴木優人の指揮・フォルテピアノとともに、C.P.E.バッハの協奏曲やドヴォルザークの弦楽セレナードなどに取り組む。

主要楽団の首席クラスが揃う充実のオーケストラ
30日は宝山ホールでキリシマ祝祭管弦楽団が登場。昨年に続きデイヴィッド・レイランドの指揮に、ヴァイオリンのセルゲイ・クリーロフも共演し、チャイコフスキーの協奏曲とリムスキー=コルサコフ「シェエラザード」など、ロシア・プロを華麗に。
8月2日は「音楽の散歩」の(5)で、堤剛のチェロにヴァイオリンの藤原浜雄、玉井菜採、長原幸太をはじめとするベテランの名手たちに、浜松国際ピアノコンクールで日本人初優勝を飾った鈴木愛美を迎えて、ベートーヴェンやモーツァルトの室内楽名品を。

最終日の3日は、レイランドの指揮のもと「ファイナル・コンサート・オーケストラ」が結成される。世界的ピアニストのエリソ・ヴィルサラーゼとのシューマンの協奏曲は注目だ。メインはドヴォルザークの交響曲第8番で、ボヘミアと霧島の自然が重なる時間になりそう。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2025年6月号より)
第46回 霧島国際音楽祭
2025.7/18(金)〜8/3(日) 霧島国際音楽ホール(みやまコンセール)、宝山ホール、ザビエル教会、霧島神宮 他
問:霧島国際音楽ホール(みやまコンセール)0995-78-8000 ジェスク音楽文化振興会03-3499-4530
https://kirishima-imf.jp
※音楽祭の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。