堤剛(チェロ)Tsuyoshi Tsutsumi, cello

(C)鍋島徳恭

名実ともに日本を代表するチェリスト。

幼少から父に手ほどきを受け、1950年に8歳で第1回リサイタルを開いた。桐朋学園子供のための音楽教室、桐朋学園高校音楽科を通じ齋藤秀雄に師事し、1956年に文化放送賞、翌1957年に第26回日本音楽コンクール第1位および特賞を受賞。1960年にはN響海外演奏旅行にソリストとして同行して欧米各地で協演し大絶賛された。

1961年アメリカ・インディアナ大学に留学し、ヤーノシュ・シュタルケルに師事。1963年よりシュタルケル教授の助手を務める。同年ミュンヘン国際コンクールで第2位、ブダペストでのカザルス国際コンクールで第1位入賞を果たし、以後内外での本格的な活動を開始。

現在に至るまで、日本、北米、ヨーロッパ各地、オーストラリア、中南米など世界各地で定期的に招かれ、オーケストラとの共演、リサイタルを行っている。

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共演した主なオーケストラには、ボストン響、アメリカ響、モントリオール響、バンクーバー響、トロント響、ロンドン・フィルハーモニア管、スイス・ロマンド管、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管、ウィーン響、ドレスデン・フィル、チェコ・フィル、プラハ響、ローマ・サンタチェチーリア管など、枚挙に暇がない。

また、日本のオーケストラの海外公演にもしばしばソリストとして選ばれ、1974年新日本フィル世界演奏旅行、1984年東京フィルのヨーロッパ公演、1986年N響のニューヨーク公演に同行した。

1991年から2011年までの20年にわたり、竹澤恭子、豊嶋泰嗣らと共にサントリーホールで結成された、“フェスティバル・ソロイスツ”においては、毎年内外から多彩なソリストを招いて室内楽コンサートを開催、室内楽演奏会という形態における一つの時代を創った。また、“堤剛プロデュース”と題するリサイタルシリーズも毎年開催、チェロの様々な魅力を意欲的なプログラミングを通して紹介するシリーズとして注目を集めている。

そのほか、パリでのロストロポーヴィチ国際チェロコンクール、ミュンヘン国際コンクールなど多くの国際コンクールの審査にもしばしば招かれている。

これまでに受賞した主な賞としては、『1993年度日本芸術院賞』をはじめ、1971年《バッハ無伴奏チェロ組曲》全曲連続演奏会、シュタルケルとの共演、日本音楽の紹介などの目ざましい活動と成果に対して贈られた『第2回サントリー音楽賞』、1973年ブリュッセルの“ウジェーヌ・イザイ財団”より作品への優れた解釈に対して贈られた『ウジェーヌ・イザイ・メダル』、1974年“ニッポン放送新日鉄コンサート”のために録音した、三善晃の協奏曲演奏に対して贈られた『芸術祭放送大賞』、1987年『第7回有馬賞』及び『モービル賞』、1992年日本芸術院賞、1997年のサントリーホール堤剛プロデュース公演で現代日本の作曲家たちを取り上げた成果による『1998年中島健蔵音楽賞』、2014年インディアナ大学より授与された『トマス・ハート・ベントン・メダル』などがある。2009年秋の紫綬褒章を受章。また同年、天皇陛下御在位二十年記念式典にて御前演奏を行った。2013年、文化功労者に選出。

近年では、アムステルダム・チェロ・ビエンナーレにおいて全曲邦人作品の演奏を手掛けるほか、みなとみらいホールでのJ.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲演奏会、ピアノのブッフビンダーとのベートーヴェン:チェロ・ソナタ全曲演奏会を行うなど、益々精力的に活動の場を広げる。

録音における活躍も目ざましく、《バッハ無伴奏チェロ組曲全6曲》、《ベートーヴェン・チェロ・ソナタ全集》などで数々の受賞歴を誇るほか、2010年には演奏活動60周年記念盤「アンコール」、2013年には堤の古希を祝って日本の名だたる作曲家たちが書き下ろした新作を収録した「アニバーサリー」、2017年には、ピアニストの萩原麻未との「フランク& R.シュトラウス:ソナタ」(ともにマイスターミュージック)がリリースされ、絶賛を浴びている。

2001年より霧島国際音楽祭音楽監督。インディアナ大学教授(1988年秋~2006年春)、桐朋学園大学学長(2004年4月~2013年3月)を歴任し、現在桐朋学園大学の特命教授。2007年9月よりサントリーホール館長、2009年9月よりサントリー芸術財団代表理事を務める。日本藝術院会員。

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