
結成10年にして、クァルテット・インテグラがベートーヴェンの弦楽四重奏曲16曲のツィクルス(全6回)を開始する。
日本から世界へと雄飛することが期待される彼らは現在、ロサンゼルスのコルバーン・スクールにレジデンス・アーティストとして在籍しながら、演奏活動を行っている。
第一生命ホールでは、今年の1月まで3年にわたり3大Bのシリーズを行い、好評を博した。これはブラームスの3曲の弦楽四重奏曲をメインに、ベートーヴェンとバルトークの第1〜3番をそれぞれに組み合わせるという、意欲的なプログラムだった。2024年の第2回、つまり3曲の第2番のときには、直前にチェロがパク・イェウンに交代したばかりで手さぐりな部分もあったものの、ベートーヴェンでは伸び伸びと軽快な曲調を見事に表現した。温かみのある響きと存在感をもつパクは、技術も音楽性も申し分ないことを示し、このクァルテットに新たな可能性が展けることを予感させた。
それから1年、緊密度を高めた4人が、6年をかけてベートーヴェン全曲の高峰に挑む。
スタートに選んだのは、第1番と第16番、そして第10番「ハープ」。最初と最後、そして中期の1曲という、16曲全体を俯瞰させる3曲だ。音の鮮度がとびきり高く、火花を散らすような集中力で聴く者を惹きつける若者4人のツィクルスは、どんなものになるか。まずは、ここからだ。
文:山崎浩太郎
(ぶらあぼ2025年5月号より)
クァルテット・インテグラ ベートーヴェン・ツィクルスI(全6回)
2025.6/6(金)19:00 第一生命ホール
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702
https://www.triton-arts.net
他公演
6/1(日) 愛知/宗次ホール(052-265-1718)
6/8(日) 神奈川/フィリアホール(045-982-9999)