
右:清水和音 ©Mana Miki
安定感と刺激を併せもつヴァイオリンとピアノのデュオを、横須賀で味わう。デビューから40年余、いま60代半ばでより円熟を深めるピアニスト清水和音。30代前半にしてすでに多岐にわたる活動で成果を出し続けるヴァイオリニスト三浦文彰。30歳以上の差は関係ないどころか、むしろ自然な空気感で共演できるパートナー同士という域にある。1年前にはベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会シリーズが開始され、この2月に完了する。
その直後、3月の横須賀公演のプログラムは、彼らの培ったものをまとめて、さらに次のステージに入る節目のような内容。まず、モーツァルトのホ短調(第28番)。作曲者の真価を示す2楽章の名品で、あらためて古典の美を追求。次に、シューベルトのイ長調。「グラン・デュオ」とも呼ばれる意欲作にして難曲で、匠の技と歌心を聴かせる。最後はベートーヴェン、しかも「クロイツェル」。深めてきた両者のコンビネーションを、最高の傑作で力強く示す。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2025年3月号より)
横須賀芸術劇場リサイタル・シリーズ72
三浦文彰(ヴァイオリン) & 清水和音(ピアノ) デュオ・リサイタル
2025.3/2(日)14:00 ヨコスカ・ベイサイド・ポケット
問:横須賀芸術劇場046-823-9999
https://www.yokosuka-arts.or.jp