郷古廉を筆頭にN響最強メンバーでおくるシューベルトの八重奏曲

左より:郷古 廉 ©Hisao Suzuki/村上淳一郎/伊藤 圭/宇賀神広宣

 2021年からHakuju Hallで開催されている「N響チェンバー・ソロイスツ」は実に面白い。これまで、「マーラー 交響曲第10番 室内オーケストラ版」日本初演や「木管2番奏者による特殊管の世界」等々、興味深いプログラムの連続。オーケストラとは異なる室内楽の醍醐味を、ひと捻りした内容で満喫させてきた。そして3月に行われる第8回は「シューベルトの八重奏曲」。弦楽器+管楽器の室内楽曲を代表する名作が、郷古廉(ヴァイオリン)、村上淳一郎(ヴィオラ)、伊藤圭(クラリネット)、宇賀神広宣(ファゴット)といったコンサートマスターや首席奏者をはじめとする名手たちによって披露される。曲は全6楽章・約1時間の大作だが、メロディアスで生き生きとした音楽は無尽蔵の魅力に溢れており、日本トップ級の濃密な演奏にただ身を浸すだけで魅せられること間違いなし。しかも、ソロイスティックな技量と音色やフレージングの同質性が共に求められるこの曲は、N響のメンバーにまさしくピッタリだ。

 加えて前半には、18世紀フランスのチェロ奏者バリエールの2つのチェロのソナタ第4番のチェロ&コントラバス版、ベートーヴェンのクラリネットとファゴットの二重奏曲第1番、ドヴォルザークの2本のヴァイオリンとヴィオラの三重奏曲が並んでいる。これらのレア曲を生で聴けるのは貴重だし、楽器や奏者の音色や特徴を知った上で後半のシューベルトに臨むことができるのも嬉しいところ。ここは、N響の気鋭から中堅メンバーの妙技を、響きの良いHakuju Hallで存分に堪能したい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2025年3月号より)

~N響メンバーによる室内楽シリーズ~
N響チェンバー・ソロイスツ 第8回 シューベルトの八重奏曲
2025.3/14(金)19:00 Hakuju Hall
問:Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 
https://hakujuhall.jp