この4月にヨーロッパで人気のフォルテピアノ奏者クリスティアン・ベザイデンホウトが、フライブルク・バロック・オーケストラ(FBO)と来日して、トッパンホールで二日にわたる特別なプログラムを聴かせてくれる。両者はモーツァルトやベートーヴェンのピアノ協奏曲の全曲録音などを通して親密な関係を築いてきた。

プログラムは、かれらが最も得意とするモーツァルトとハイドンに、ロンドンで活躍したバッハの末息子で少年モーツァルトに大きな影響を与えたヨハン・クリスティアン・バッハの作品。初日は当初4曲だったが、モーツァルトの《偽の女庭師》序曲が追加。今年10月に25周年を迎えるホールへのFBOからのプレゼントだという。

J.C.バッハがロンドンで演奏会シリーズを始めた頃の交響曲集op.6から第1番と第6番。ハイドンはイタリア様式の第74番、モーツァルトはヴァイオリンの出だしが印象的な第29番。協奏曲はモーツァルトが飼っていたムクドリのエピソードが伝えられる第17番や近年タイトルに関する新説が出された第9番「ジュノム」など。
ウィーン式アクションのフォルテピアノから繊細なタッチで薫り高い音色を引き出すベザイデンホウトと、ピリオド楽器特有の明度の高いテクスチャーと南ドイツの良質な弦の音楽性を併せ持つFBO。かのラトルにして「恋に落ちた」と言わしめたオーケストラの織りなす、軽やかで粋で華やぎに満ちた音楽は、桜の季節に格別な彩りを与えてくれることだろう。
文:那須田 務
(ぶらあぼ2025年3月号より)
フライブルク・バロック・オーケストラ with
クリスティアン・ベザイデンホウト(フォルテピアノ)
【 I 】2025.4/3(木)19:00
【 II 】4/5(土)18:00 トッパンホール
問:トッパンホールチケットセンター03-5840-2222
https://www.toppanhall.com
※プログラムは公演により異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。
他公演
2025.4/2(水) 大阪/住友生命いずみホール(06-6944-1188)
4/6(日) 三鷹市芸術文化センター 風のホール(0422-47-5122)