
右:フェデリコ・アゴスティーニ
三鷹市芸術文化センター 風のホールを拠点として、沼尻竜典を音楽監督に迎え、充実のアンサンブルを追求し続けてきたトウキョウ・ミタカ・フィルハーモニアが、今年創立30周年を迎える。記念となる第90回の定期演奏会、ヴィヴァルディとシューベルトの名曲で楽団の成果を示す。
ヴィヴァルディは「四季」。ソリストにかのイ・ムジチ合奏団の元コンサートマスター、フェデリコ・アゴスティーニを迎える。“イ・ムジチの四季”の多数の録音でも特別な人気を保つのが、アゴスティーニがソロを務めた盤。イタリアの奏法ならではの美音と名技はいまだ健在。歌心あふれる「四季」を堪能できる。
シューベルトは交響曲第8番「ザ・グレート」。指揮者とオーケストラの力量や充実度が問われる大作だが、それらがそろったときの感銘の大きさは比類がない。緻密な構築と雄大な歌を両立しつつ、大きな世界を築き上げるのは、オペラの名匠・沼尻の得意とするところ。節目にふさわしい壮大な「ザ・グレート」が、風のホールに鳴り響く。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2025年2月号より)
沼尻竜典(指揮) トウキョウ・ミタカ・フィルハーモニア
第90回 定期演奏会
2025.3/15(土)15:00 三鷹市芸術文化センター 風のホール
問:三鷹市スポーツと文化財団0422-47-5122
https://mitaka-sportsandculture.or.jp