作曲家・藤倉大がいずみシンフォニエッタ大阪の新音楽監督に就任

 12月26日、大阪・住友生命いずみホールのレジデント・オーケストラ「いずみシンフォニエッタ大阪」(ISO)は、作曲家の藤倉大が新音楽監督に就任することを発表した。

藤倉大 ©Alf Solbakken

 2000年、前音楽監督で大阪出身の作曲家、西村朗の提唱により結成された同楽団。以来、住友生命いずみホールでの定期演奏会を主な活動の場とし、近現代作品をレパートリーの中心に据え新作初演を積極的に行うなど、関西の音楽シーンで独自の存在感を放ってきた。昨年9月に西村が急逝して以降、音楽監督のポストは空席となっていたが、「現代音楽作曲家が楽団を率いる」スタイルを継承し、藤倉がその後を担うことになった(西村は名誉音楽監督に)。

 藤倉は1977年生まれ、15歳で単身渡英し、G.ベンジャミンらに師事。98年、セロツキ国際作曲コンクールで当時最年少で優勝を果たし、以後国内外の権威ある作曲賞を多数受賞している。現在、ロンドンを拠点として国際的に活動を行っており、国内でも来年、京都市交響楽団(「ダブル協奏曲――ヴァイオリンとフルートのための」・日本初演)やNHK交響楽団(委嘱新作・世界初演)の公演で作品がプログラミングされるなど、現代日本を代表する作曲家の一人だ。

 ISOは藤倉に音楽監督就任を打診した理由として、主に「大阪出身で、同地から音楽を発信し続けることの重要性を共有できること」「世界各国の音楽を取りまく状況を熟知しているため、楽団を新たなステージへと導くことが期待されること」などを挙げている。今後の活動については「これからの世界(Future Now)」をスローガンに掲げ、以下のような新たな取り組みを行っていくという。

・従来の定期演奏会(年2回)に加え、年1回のペースで藤倉による「チャレンジ公演」を実施

→国内外からソリスト・指揮者をゲストとして迎え、作品の編成や表現等にこだわらず、自由に着想したコンサートを開催

・世界中から作品を公募し、選ばれた楽曲を定期演奏会で披露

→初回は30歳以下の作曲家を対象とし、室内楽もしくは室内オーケストラ作品を募集
(25年1月より公募開始、選ばれた作品は26年2月定期で演奏予定)

・若手指揮者の育成を目指し、コンペティションを主催

→選抜者は飯森範親(同楽団常任指揮者)の指導の下、定期公演で1作品を演奏
(26年度以降、詳細検討中)

 新音楽監督として藤倉が考案したプログラムは、26年2月の定期公演で披露される。名手揃いの室内オーケストラとともに、“これからの”関西の音楽界をどのように切り拓いていくか、期待が高まる。

文:編集部/写真提供:住友生命いずみホール


【Information】

いずみシンフォニエッタ大阪 第55回定期演奏会
「これからの世界、これからのいずみシンフォニエッタ大阪」

2026.2/11(水・祝)16:00 大阪/住友生命いずみホール

♪出演
飯森範親(指揮)
片岡リサ(箏)
いずみシンフォニエッタ大阪

♪曲目
オリヴェロス:The Well and The Gentle
川島素晴:ピチェクラリン讃歌
西村朗:オルゴン 室内オーケストラのための
フェルドマン:マダム・プレスは先週90歳で亡くなった〈生誕100年〉
公募作品(五重奏以内)
藤倉大:箏協奏曲

住友生命いずみホール
https://www.izumihall.jp