17回目を迎える総合芸術祭、昭和100年にあたる2025年のテーマは「今、生きる昭和」

川崎・しんゆり芸術祭 アルテリッカしんゆり2025 記者発表会

写真・取材:編集部

 11月27日、「川崎・しんゆり芸術祭 アルテリッカしんゆり2025」の記者発表会が行われ、芸術祭実行委員会委員長の富山省吾、同副委員長の下八川公祐、中村茂、ピアニストの古海行子(ふるみやすこ)が登壇した。

左より: 下八川公祐、古海行子、富山省吾、中村茂

 アルテリッカとは、イタリア語で“豊かな芸術”という意味。2025年4月6日から5月11日までの約1ヵ月間、新百合ヶ丘をはじめとした川崎市内8会場を舞台に開催される。「良質で大人も子どもも楽しめる地域主体の芸術イベントを作っていこう」という思いから、2009年に始まり17回目を迎える。オペラ、バレエ、オーケストラ、室内楽、ジャズ、演劇、能・狂言、落語、フラメンコにポップスと、実に多様なジャンルのアーティストが参加する世界でも稀に見る芸術祭で、40を超える公演が企画されている。
 昭和100年にあたる2025年、テーマを「今、生きる昭和」とし、今日の日本社会を作り上げた〈破壊と創造の時代〉を振り返り、今なお残る「昭和の光と影」に迫っていくという。
 実行委員長の富山は、「前回は、コロナ禍を経て『再起動の年』として無事に終えましたが、この17回は新時代に向けた始まりの年という気持ちで開催したいと思います」と述べた上で、テーマの「昭和」を象徴する催しとして能・狂言の人間国宝が競演する人気公演『友枝昭世と山本東次郎の至芸』、戦後日本の復興を象徴する最大のイベントを市川崑が映画化した『東京オリンピック』の上映を紹介した。

古海行子

 古海行子は、2018年の高松国際ピアノコンクールで優勝、21年のショパンコンクールではセミファイナリスト、22年のダブリン国際ピアノコンクールでは第2位受賞と今後の活躍を期待されるピアニストのひとり。今回は、「ザ・ピアニスツ —超進化形—」という公演に、本堂竣哉、入江一雄とともに出演する。昭和音楽大学で学んでいたこともあり、10年以上この新百合ヶ丘に通っていたという古海は、芸術祭に向け次のように述べた。
「私は平成生まれなので『昭和』を直接は知らないのですが、当時流行った音楽を今の時代に聴くということは、普通にあることだと感じています。クラシックも同じで、時代を超えて今を生きる私たちにエネルギーをくれるというのは共通しているかと思います。今回の公演では、3人のピアニストが自由にプログラムを組ませてもらうことができました。他の公演ではなかなか見られない踏み込んだ内容になっているので楽しんでいただきたいです」

 他にもクラシックジャンルでは、藤原歌劇団によるグノー《ロメオとジュリエット》、キンボー・イシイ指揮東京交響楽団のオール・ドヴォルザーク・プログラム、横山幸雄によるオープニング公演など、総合芸術祭ならではの多彩な公演が企画されている。老若男女それぞれの「昭和」を多様なジャンルで体験できる貴重な機会になりそうだ。

川崎・しんゆり芸術祭 アルテリッカしんゆり2025
チケット一般発売:2025.1/31(金)9:00〜
※先行発売(インターネットのみ):2025.1/17(金)9:00〜1/24(金)23:59

問:川崎・しんゆり芸術祭実行委員会事務局044-952-5024
アルテリッカしんゆり
https://www.artericca-shinyuri.com