読響9年ぶりの欧州ツアーが進行中!【速報現地レポート Vol.1】
INTERVIEW ソロ・ヴィオラ奏者 鈴木康浩

協力:読売日本交響楽団

鈴木康浩さん

 読響の欧州ツアーの1公演目が現地時間の10月13日、ドイツ・バイエルン州ニュルンベルクのマイスタージンガーハレにて行われました。翌日、ソロ・ヴィオラ奏者の鈴木康浩さんに、初日の演奏を終えた感想などを伺いました。

読響 欧州公演ツアー2024 ニュルンベルク公演
2024.10/13(日)19:00 ニュルンベルク/マイスタージンガーハレ ※現地時間

出演
セバスティアン・ヴァイグレ(指揮) 読売日本交響楽団
藤田真央(ピアノ)

プログラム
伊福部昭:舞踊曲「サロメ」から”7つのヴェールの踊り”
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 作品23
ラフマニノフ:交響曲第2番 ホ短調 作品27

——昨夜ツアー初日を終えましたが、いかがでしたか?

 オーケストラ全体の集中力が高く、音楽の質も追求できたとても良い演奏会だったと思います。普段日本で演奏しているホールとは違う環境ならではの緊張感もありました。いつも演奏中には、全体のバランスに耳を傾けながら、オーケストラの中で自分たちヴィオラ・セクションがどのくらいの音量を出すかなどを判断しています。昨日のホールはステージが横に広く、ヴァイオリンとコントラバスの距離が遠かったので、リハーサルで音を出してすぐにアンサンブルが難しいと感じました。これまでに経験したことのない独特な音響空間だったので、サウンドチェックを入念に行いました。本番中も、耳だけでなく、指揮者の動きはもちろん、コンサートマスターや管楽器の人たちを目で見て音量や音色を工夫してホールの音響に合ったサウンドを作り出すことを心がけていました。

リハーサルの様子。左はチャイコフスキーのピアノ協奏曲で独奏を務める藤田真央さん

——お客様の反応はいかがでしたか?

 演奏後の拍手やブラボーの声がとても温かく、読響を受け入れてもらえたように感じました。特にラフマニノフの交響曲第2番は約60分の長い作品ですが、お客様はとても集中して聴いてくださっている様子で、大変嬉しく、同時に刺激にもなりました。ツアー出発前にサントリーホールでも演奏しましたが、その時とはまた違う反応を感じられて興味深かったです。またお客様の良い反応もあり、自分自身は日本で演奏するよりも開放的に弾くことができたように感じました。やはり異国の地で演奏するからこその特別感がありますよね。

カーテンコールでは大きな拍手が

——やはり海外で演奏するからこそ得られるものがあるのですね。鈴木さんは読響入団前にドイツで演奏活動をされていましたが、そのお話も聞かせていただけますか?

 僕は24歳で渡独し、約3年半ベルリンで研鑽を積みました。留学して実際にドイツで生活し、日本とは違う文化に触れる経験は本当に有意義でした。音楽家として、家で練習して技術を磨くことだけでなく、楽器を通してどのような音楽を表現するのか、そのイメージを広げることが本当に大切だと思っています。食事でも、ひとつのメニューだけを食べるのではなく様々な料理を食べるからこそ、たくさんの味を知ることができますよね。音楽も同じで、新たな文化に触れ続けることでこれまでにないインスピレーションを得ることが不可欠です。自分の持っている技術をさらに上達させるための材料を養うきっかけが、海外、特にヨーロッパには多くあると感じます。ここ数年、20代のうちにオーケストラに入団する音楽家も増えてきていますが、若い世代の人たちにはぜひ早い時期に海外に出て経験を積んでほしいと思っています。

——「食」についての例え話がありましたが、今回ドイツで食べたもの、あるいはこれからツアー期間に食べたいものはありますか?

 最初に滞在したニュルンベルクだけでも、ニュルンベルガーソーセージやシュヴァイネハクセなどドイツならではの料理をたくさん食べました。どれもおいしかったですが、やはり和食が一番だなとも思います(笑)

——今回のツアーで特に楽しみにしていることを教えてください。

 ツアーの良いところは、楽団員たちとゆっくり話ができることです。ドイツに着いた夜も、若いメンバーとビールを飲みにいきましたし、昨夜のニュルンベルク公演後には藤田真央さんも加わって、音楽について深く語らいました。ホテルでの朝食の時間も、広い世代や管楽器の人たちとも気軽に話せて良いですね。
 都市では、ベルリンとロンドンが楽しみです。9年前の読響ツアーでベルリンのフィルハーモニーで演奏した時、留学していた当時と随分違う印象を受けました。今回は9年ぶりに演奏するので、どのような気持ちになれるのか、今からわくわくしています。ロンドンに行くのは、ベルリン・フィルのツアーの一員として訪れて以来、約20年ぶりです。そのロンドン公演ではラトルさんの指揮で「春の祭典」を演奏したのですが、思わずミスして飛び出してしまったのです。今となっては懐かしい思い出です(笑)

舞台裏での一コマ。左:藤田真央さん 右:鈴木康浩さん

——最後に、この後の公演への抱負を聞かせてください。

 行く先々でのお客様、ホール、ホールスタッフ、そして街との出会いが楽しみです。その地でしか得られないインスピレーションや発見があると思うので、その瞬間を大切にしたいです。また、普段の東京での演奏会と違い、環境の違いや時差もありますし、体力的にも万全な状態で演奏会に臨むのが難しいこともあると思います。そんな時、その状況をポジティブに捉えて、読響の皆で乗り越えていき、自分たちの新たな能力を見つけられることを願っています。それぞれの会場で読響の演奏をどう響かせるか、いかに繊細さも持ち合わせて演奏できるか、そのサウンドづくりをとても楽しみにしています!

読売日本交響楽団 欧州ツアー2024
10月13日(日) ニュルンベルク/マイスタージンガーハレ
10月14日(月) フィリンゲン=シュヴェニンゲン/フランツィスカーナー・コンツェルトハウス
10月16日(水) ベルリン/フィルハーモニー
10月18日(金) ハンブルク/エルプフィルハーモニー
10月20日(日) ミュールハイム・アン・デア・ルール/シュタットハレ
10月22日(火) ベイジングストーク/ジ・アンヴィル
10月23日(水) バーミンガム/シンフォニーホール
10月24日(木) ロンドン/カドガンホール
※日付は現地時間

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■プレゼント内容
読売日本交響楽団 欧州ツアー2024
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※実物のカラーが以下の写真と異なる場合があります

出国前の空港にて。
左:葛西修平さん(トロンボーン) 右:大槻健さん(首席コントラバス)

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 *お預かりした個人情報は本件以外の目的には使用いたしません。
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 *送付先は、日本国内のご住所に限らせていただきます。

読売日本交響楽団
https://yomikyo.or.jp