アレクサンドル・ラザレフ(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団 ラザレフが刻むロシアの魂 SeasonⅢ ショスタコーヴィチ 2

第11番は真の傑作です

 首席指揮者アレクサンドル・ラザレフと日本フィルによる『ラザレフが刻むロシアの魂 SeasonⅢ ショスタコーヴィチ』、シリーズ第2弾となる3月の公演では、交響曲第11番「1905年」とピアノ協奏曲第2番(独奏:イワン・ルージン)が取りあげられる。昨年10月の第1弾では交響曲第4番が演奏されて大きな話題を呼んだことが記憶に新しいが、今回の交響曲第11番「1905年」でも聴く人に強烈なインパクトを残してくれるのではないだろうか。
 交響曲第11番「1905年」は、1905年にロシア皇帝への請願のためにペテルブルク宮殿に向かった民衆の行進に対し、軍隊が発砲して多くの犠牲者を出した「血の日曜日事件」が題材となっている。ラザレフと日本フィルはすでに2003年に同曲を演奏し、これがまれに見る名演として語り草となっている。昨年、今回のシリーズを始める前に開かれた記者会見で、ラザレフは「この交響曲は日本フィルと初共演した思い出深い曲でもあり、私の大好きな作品でもある。この曲が革命のために書かれた作品であるかどうかは、私にとっては関係ない。これはプロパガンダのための音楽などではなく、ほかのショスタコーヴィチの傑作と同様に、深みのある音楽なのだ」と語っていた。
 この曲が単に歴史のひとこまを描いた交響曲ではなく、現代社会と共有する普遍的な問題意識を宿した作品であることを痛感させてくれることだろう。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年3月号から)

第668回 東京定期演奏会
3/20(金)19:00、3/21(土・祝)14:00 サントリーホール
問:日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 
http://www.japanphil.or.jp