オーケストラ・アンサンブル金沢 東京公演

不屈のシェフが紡ぐ渾身のサウンド

 今年のオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)は、きっと、ひと味もふた味も違うはず。2013年に創立25周年という節目を迎えたOEKが、音楽監督の井上道義に率いられ、31回目となる東京定期公演に臨む(3/20には金沢で同プログラムの演奏会あり)。その井上は昨年10月、咽頭がんの治療から見事に復帰を果たしたばかり。そんな不屈のシェフと共に、四半世紀の時間をかけて磨き上げたハーモニーを披露する今回のステージ。いつにも増して、渾身のサウンドを紡ぎ上げる。
 1988年に故・岩城宏之を初代音楽監督に、石川県と金沢市によって創設されたOEKは、多くの外国人奏者を擁する日本初の室内プロ・オーケストラ。地元・北陸にとどまらず、東名阪でも定期公演を行い、“歴戦”の音楽ファンをもうならせてきた。岩城の遺志を受け継いだ井上のもとでも、独創的なプログラミングやCD録音を活発化させるなど、さらに先鋭的な演奏活動で、わが国の楽壇での存在感を増している。
 今回メインに据えたのは、シューベルトの大作「グレイト」。井上のダイナミックな指揮ぶりと音楽創りが、いかにも相応しい。冒頭には、エストニアの名匠ペルトの作品の中でも、特に人気の高い「フラトレス」を置いた。元は古楽アンサンブルのために1977年に書き下ろされた本作は、後に様々な編成のためにもアレンジされている。今回はヴァイオリン・ソロと弦楽合奏、打楽器のための版(1992)で、繊細な響きを楽しむ。日本が誇る“ベートーヴェン弾き”である仲道郁代を迎えてのピアノ協奏曲第4番にも大いに期待したい。
文:笹田和人
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年3月号から)

第31回 東京定期公演
3/24(火)19:00 サントリーホール
問 カジモト・イープラス0570-06-9960
第363回 定期公演フィルハーモニー・シリーズ
3/20(金) 19:00 石川県立音楽堂コンサートホール
問 石川県立音楽堂チケットボックス076-232-8632 
http://www.oek.jp