墨田区発! 宇宙と音楽の新しいコラボレーション
2機の惑星探査機ボイジャーが打ち上げられたのは1977年のこと。そろそろ半世紀が経とうとしているが、現在でも時折、太陽系を離れた機体から通信が届くというのだから、ロマンを感じさせる。
クラシックで宇宙をテーマにした曲といえばホルストの「惑星」が有名で、「木星」のカヴァー曲がヒットしたことで一般にも広く知られるようになった。実は今年はホルストの生誕150年にあたる。
この二つを結び付け、来る7月7日、つまり七夕の日にすみだトリフォニーホールで面白い演奏会が予定されている。新日本フィルがシズオ・Z・クワハラの指揮で「惑星」を演奏するのだが、7つの惑星を表した楽章に新たにボイジャーを描いた第8楽章が書き加えられ、初演されるのだ。
作曲はホルストが講師を務めたことのあるハーバード大学出身の清水研作。「惑星」の絢爛たる楽器編成をさらに増強し、今や宇宙の果てへと消えていくボイジャーを擬人化した〈さらば地球よ〉というソプラノ独唱(秋本悠希)まで加えて、21世紀の宇宙観にふさわしく作品をアップデートする。ボイジャーに搭載されたゴールデンレコードに収録されたバッハやベートーヴェンの作品も引用されているというから、どこに隠れているか耳を傾けるのも一興だ。
他にホルストの「アヴェ・マリア」「セントポール組曲」も取り上げられ、我が国ではまだまだ知られていないこの作曲家の横顔を紹介。また天文学界の重鎮によるトークセッションも行われる。急速な展開を見せる宇宙研究の最先端にも触れられるだろう。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2024年6月号より)
2024.7/7(日)17:00 すみだトリフォニーホール
問:トリフォニーホールチケットセンター03-5608-1212
https://www.triphony.com