東京フィルハーモニー交響楽団
第34回 平日の午後のコンサート/第22回 渋谷の午後のコンサート 〈夏のパリへ〉

TOKYOで五輪直前のPARISを愉しむ

左:三ツ橋敬子 ©Earl Ross
右:大山大輔

 東京フィルの「午後のコンサート」は長年続く人気シリーズで毎回ほぼ満席となる。7月に開催される「平日の午後のコンサート」(東京オペラシティ)と「渋谷の午後のコンサート」(Bunkamura オーチャードホール)は、パリ2024夏季オリンピックにちなみ〈夏のパリへ〉とタイトルが付けられた。

 指揮とピアノとお話は、2009年『Newsweek Japan』誌にて「世界が尊敬する日本人100人」に選出された三ツ橋敬子。幕開けは、今井光也「オリンピック東京大会ファンファーレ」、古関裕而「東京オリンピック・マーチ」で盛り上げる。続いて語り付きの音楽をテーマに、ブリテンの「青少年のための管弦楽入門」とプーランクの「子象のババールの物語」が披露される。語りはバリトンの大山大輔。ブリテンは青少年=夏のイメージ、プーランクはパリ生まれという関連もある。プーランクは子象ババールの成長を描いたジャン・ド・ブリュノフ作の絵本に心を込めて音楽を付けた。オリジナルはピアノ伴奏だが、今回はジャン・フランセのオーケストラ編曲版が使われる。

 プログラム後半は、三ツ橋がピアノと指揮を担当する久石譲作曲の映画『菊次郎の夏』より「Summer」と、映画『ハウルの動く城』より「人生のメリーゴーランド」の2曲で始まる。いずれも久石を代表する名曲で、誰もが一度は耳にしたことのある美しいメロディ。三ツ橋の弾き振りを見られるのは午後のコンサートならでは。

 締めくくりは、モーツァルトの交響曲第31番「パリ」。モーツァルトとしては珍しいほど推敲を重ねた傑作で、初演ではパリの聴衆から大喝采を受けた。華やかで輝かしい音楽は夏のパリにふさわしい。
文:長谷川京介
(ぶらあぼ2024年6月号より)

第34回 平日の午後のコンサート
2024.7/4(木)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
第22回 渋谷の午後のコンサート
2024.7/7(日)14:00 Bunkamura オーチャードホール
5/28(火)発売
問:東京フィルチケットサービス03-5353-9522 
https://www.tpo.or.jp