反田恭平、自らが率いるオーケストラの“これから”を語る

Kyohei Sorita

Japan National Orchestra 記者懇親会

写真・文:編集部

 反田恭平が率いるJapan National Orchestra(JNO)が、2024年5月、創設から3年を迎えるにあたり、これまでの活動の報告とこれからの展望について発表する記者懇親会が、3月1日、東京オペラシティ コンサートホールで行われた。Japan National Orchestra株式会社の代表取締役会長 川島昭彦と代表取締役社長の反田恭平が活動報告を行なった。
 JNOは、音楽家が活躍する場を創出することを目的に、奈良県に本拠地を置くDMG森精機株式会社と反田自らが代表を務める株式会社NEXUSが出資し、2021年に設立された。

 JNO設立当時の会見の様子は、以下の記事を参照ください。

 まず、川島が第3期の決算について説明した。
「3期目、思いのほか早く黒字化を達成できました。国内ツアーの成功に加え、イタリアでの規模の大きなツアーや奈良市のふるさと納税などが起因しています。そして何より皆さまの応援に感謝しています」

 次に反田が、これまでの活動報告を行なった。ここでは主に奈良県での活動について紹介する。

・奈良国立博物館前での街角演奏
・奈良女子大学でのワークショップ
・地元の学校の吹奏楽部で演奏指導
・音楽祭「ムジークフェストなら」での演奏やマスタークラスの開催
・アウトリーチ(学校を中心に、奈良県庁や東大寺、奈良公園バスターミナルなど20箇所で演奏)
・東大寺 大仏殿前庭 野外特設会場での「Japan National Orchestra 東大寺奉納公演」

「『ムジークフェストなら』という音楽祭には、お客さんに喜んでもらうのはもちろんのこと、JNOのメンバーにも刺激となるように、ベルリン・フィルの楽団員をお招きし共演しました。特にオーボエのハルトマンさんとヴィオラのシュテグナーさんとは友好関係を深めています」
 ハルトマンは今年の6月にも来日を予定しているという。

 アウトリーチに関しては、
「奈良には素晴らしい歴史や文化があります。ただ楽器を背負っている人がまだまだ少ない。
身近に音楽に触れる機会を作ってもっと興味を持ってもらえるよう活動しています」

 今後は、東大寺に続いて薬師寺でのコンサートの開催や、現在改修工事中の奈良県文化会館のリニューアルオープンに向けて、反田とJNOが音楽家としてのアドバイスを行うなどしていくそうだ。

 そして話は、この先のJNOの展望に移った。

「今いるコアメンバーは、僕自身が演奏会に足を運んだり、直接コンタクトを取って集まっていただきました。曲の編成によってエキストラが必要なときは、そのコアメンバーの紹介などが中心でした。今後、より活動しやすくしていくためにJNOのメンバーを新しく募集します。ただし定期的なものではありません。JNOでは、演奏の技術より人間性を重視します。オーケストラにおいては、その人の内面性を一番大事にしなければならないと考えているからです」

 この楽団員募集についてコンサートマスターの岡本誠司は、
「JNOを始めてまもないころ反田さんが『(JNOを)みんなが帰って来られる場所にしたい』と語っていたのが印象に残っています。そういう場所に新たな才能を迎え、われわれもサポートし、これから先を担う演奏家になっていただきたいです」
とコメント。

Seiji Okamoto

 最後に反田は次のように呼びかけた。
「JNOは、既存のオーケストラと異なりアカデミー的な側面もあります。ここで得たものを通して、マスタークラスに参加してみたり留学に役立てたりしてほしいです。そして『音楽の街 奈良』にしていくために、志をともにしてくれる人に参加していただきたいと思います」

 このほかにも音楽家とファンとがコミュニケーションするオンラインサロン「Solistiade(ソリスティアーデ)」の全面リニューアルを5月に計画しているという。

 最後に、反田恭平(指揮・ピアノ)、JNO(管弦楽)により、ラヴェル:クープランの墓(管弦楽版)、モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番より第2楽章、第3楽章を演奏し、大きな拍手のなか会は閉じられた。

反田恭平(指揮・ピアノ) ジャパン・ナショナル・オーケストラ

Japan National Orchestra
https://www.jno.co.jp
Solistiade
https://solistiade.jp