京都市交響楽団 2024-25シーズン公演ラインナップが発表!

 京都市交響楽団が11月21日、同楽団の練習場で記者発表を行い、2024-25シーズンのラインナップを発表した。会見には今年の4月より第14代常任指揮者に就任した沖澤のどかがオンライン中継で登壇した。

提供:京都市交響楽団

 来年4月にはオランダの鬼才、ヤン・ヴィレム・デ・フリーントの首席客演指揮者就任も予定されており、シェフ陣の充実が加速する京響。沖澤は、就任1年目半ばながら、4月、9月の二度の共演で確かな手ごたえをつかんだことを明かしつつ、来シーズンのコンセプトについて以下のように語った。
「デ・フリーントさんには、京響の新たな面を発掘していただくことを目的に、小編成のモーツァルトをはじめとする古典的な作品を積極的に取り上げていただく予定です。それに対して私は、もう一つの柱となるよう、ストラヴィンスキーやR.シュトラウスなどの大編成の作品を中心に取り組みます」

沖澤のどか (c)Felix Broede

 沖澤の定期公演への出演は全3回。第695回(11月)ではブラームスのセレナード第1番&ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲(独奏:ジョシュア・ブラウン)という王道のドイツ作品を取り上げる一方で、第691回(7月)には上原彩子とのプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番、そしてストラヴィンスキーのバレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)を披露する。これまで主に独仏音楽の演奏で名声を確立してきた沖澤が魅せるロシアン・プロに期待が高まる。
 そして、シーズンのトリを飾る第698回(25年3月)では、「京響の魅力の一つである、オケ全体で創り上げる音のクオリティの高さが発揮されること」を期待していると語る、R.シュトラウス「英雄の生涯」を演奏。加えて、2日目には藤倉大「ヴァイオリンとフルートのための二重協奏曲」の日本初演も予定されている(ヴァイオリン:金川真弓、フルート:クレア・チェイス)。

ヤン・ヴィレム・デ・フリーント (c)Hans Morren

 会見では映像で、以下の通りコメントを寄せたデ・フリーント。
「京響との初共演の後、アムステルダムに戻っても興奮冷めやまず、仲間たちに『京都には特別なオーケストラがある。全員が音楽を作り上げることだけに専心しているんだ』と話して回っていました。すると数日後、『客演指揮者にならないか』というメールを受け取り、嬉しさのあまり思わず椅子から飛び上がってしまいました」
 第689回(5月)、第696回(25年1月)の2回登場し、それぞれ1・2日目で全く異なるプログラムを披露。5月の公演では、沖澤の言の通り、オール・モーツァルト・プロ(1日目)とベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番(独奏:デヤン・ラツィック)&シューベルトの交響曲第1番(2日目)というクラシカルなレパートリーを演奏する。一方で、1月の公演ではダウランド「弦楽合奏のための『あふれよ、涙』」とペルトの「弦楽と打楽器のためのフラトレス」を並べるという、極めて広範なレパートリーを誇る彼ならではのプログラムを予定。

井上道義 (c)Yuriko Takagi
広上淳一

 他にも、第9代常任指揮者を務めた井上道義による渾身のオール・ショスタコーヴィチ・プログラム(第690回・6月)や、前常任指揮者である広上淳一が藤村実穂子をメゾソプラノ独唱に迎えて臨む大曲・マーラーの交響曲第3番(第692回・8月)など、聴き逃せない定期公演が揃った。「オーケストラ・ディスカバリー」シリーズ(5歳以上入場可)には角田鋼亮や鈴木優人ら、「ZERO歳からのみんなのコンサート」には沖澤の出演が予定されるなど、ファミリー向けのコンサートも盤石の布陣。新体制で一層の進化を目指す京響から目が離せない。

京都市交響楽団
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