名作中の名作、チャイコフスキーの「悲愴」に挑む熱きマエストロ!
11月25日(土)、26日(日)にカーチュン・ウォン&日本フィルハーモニー交響楽団の演奏会が開催される(第392回横浜定期演奏会 @横浜みなとみらいホール&第248回芸劇シリーズ @東京芸術劇場)。22日に行われた初日リハーサルの様子をお届けする。
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本日のリハーサルは、言わずと知れたシンフォニーの傑作、チャイコフスキーの「悲愴」を中心に進行。元来は、来日中止となった桂冠指揮者・芸術顧問のアレクサンドル・ラザレフと演奏する予定の曲目だった。「元首席であるラザレフの代役を、現首席の自分が引き受けるのは当然のこと」とカーチュンが買って出た結果、今回のプログラムが結実したのだという。
マエストロは、楽章単位で頭から通した後細部をピックアップ。特に第1楽章前半の音楽作りを丁寧に行った。冒頭のコントラバスの和音は、従来の日本フィルの“型”を崩したフラットな状態で、低音と高音のバランスをよく聴きあいハーモニーを作り出すことを要求。オケのメンバーからも「いつも何気なく弾いているところも、良い意味できっちり意識づけて弾くことを求められている」という声が。
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“グスタフ・マーラー国際指揮者コンクール優勝”という経歴も相まって、独墺音楽をレパートリーとするイメージが一般的には強いカーチュン。そんな彼と作り上げるチャイコフスキーについて、首席ホルン奏者を務める信末碩才は次のように手ごたえを語った。
「今日のリハーサル中、カーチュンさんは明るい音楽の場面でも“涙”や“痛み”といった言葉を多用されていました。僕の主観では、ロシア音楽は明るさの中にも常に暗さを孕んでいるものだと考えています。そういった意味で、彼はその“暗さ”を余すことなく、突き詰めて表現しようとしていると感じますし、そこが今回の聴きどころだと思います」
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コンサートの幕開けに演奏するのは、小山清茂の代表作「管弦楽のための木挽歌」。九州地方の民謡を主題とし、和太鼓をはじめとする打楽器群が大活躍の、日本人のプリミティブな感性を刺激する佳品だ。1957年に日本フィル創立指揮者である渡邉曉雄と同楽団によって初演されたこともあり、熱の入り方はひとしお。
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過去にも複数回共演したことがあるというソロ・チェロ奏者の門脇大樹は、カーチュンの音楽作りについて次のように語った。
「作品のスケールの大きさ、全体像をとらえる感覚の素晴らしさにいつも驚かされます。非常に細やかなニュアンスやキャラクターの指示も多々ありますが、それらもすべて、全体を見通した上での要求であるということが伝わってきます。色々なところにこだわった練習の成果が本番の演奏でどう表れるのか、いつも楽しみにしながら臨んでいます」
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この2曲の他、福間洸太朗をソリストに迎えてプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番も演奏される。この作曲家らしいピアニスティックな技巧が魅力的なソロと、単なる伴奏にとどまらない充実した管弦楽の掛け合いが秀逸な名曲。八面六臂の活躍を見せる実力派・福間との共演、エキサイティングなひと時を味わえること間違いない。今週末、ぜひ会場に足を運んで、熱演を生で体験してほしい。
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写真提供:日本フィルハーモニー交響楽団
【Information】
第392回横浜定期演奏会
2023.11/25(土)17:00 横浜みなとみらいホール
第248回芸劇シリーズ
11/26(日)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
出演/
指揮:カーチュン・ウォン[首席指揮者]
ピアノ:福間洸太朗
曲目/
小山清茂:管弦楽のための木挽歌
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 op.26
チャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》 ロ短調 op.74
問 日本フィル・サービスセンター03-5378-5911
https://japanphil.or.jp