群馬交響楽団 × 高崎芸術劇場 GTシンフォニック・コンサート vol.5
オペラ・ガラ・コンサート

クリスマスシーズンを盛り上げる最高の歌い手たち

上段左より:沼尻竜典/砂川涼子 ©Yoshinobu Fukaya/auraY2/砂田愛梨
下段左より:宮里直樹 ©Yoshinobu Fukaya/auraY2/髙田智宏/妻屋秀和 ©Takafumi Ueno

 プッチーニとヴェルディのアリア、重唱、合唱。それが魅力的なことは疑う余地がないが、肝心なのはだれが歌うかである。とりわけ聴きどころを集めたガラ・コンサートでは、歌唱の質が満足度に直結する。

 その点、このガラはすごい。掛け値なしに優れた日本の歌手がベテラン、中堅、若手とバランスよく配されている。「この人が聴けるならいい」という歌手が1人か2人いればまずまずのところ、全員がそういう歌手なのである。

 砂川涼子は洗練されたリリックな声と歌唱で知られる日本を代表するソプラノ。一方、歌手や留学生と「若手でだれが優秀か」と話す際、頻繁に名が挙がるソプラノが砂田愛梨で、彼女のヴィオレッタを「先物買い」できる価値は高い。宮里直樹は頭抜けた音楽性に支えられた端正な歌唱で定評のあるテノール。日本を代表する逸材だ。

 髙田智宏は長くドイツの歌劇場の専属歌手を務めているバリトンで、磨かれた声と日本人離れした表現力を誇る。妻屋秀和も海外経験が豊富で、日本の優れたバスといえば妻屋である。池内響はノーブルな歌唱と抜群の表現力で、昨年の東京音楽コンクールの1位に輝いた、期待度ナンバーワンのバリトン。小さな役で登場する清水良一も、力あるバリトンだ。

 全員がノーブルでスタイリッシュな歌唱で共通しており、そうした歌手ばかりが揃ったことに驚きを禁じ得ない。管弦楽は実力のある群馬交響楽団で、内外におけるオペラ経験が極めて豊富な沼尻竜典が指揮をするのだから、音楽的満足度は幾重にも保証されている。
文:香原斗志
(ぶらあぼ2023年12月号より)

2023.12/21(木)18:30 高崎芸術劇場
問:高崎芸術劇場チケットセンター027-321-3900 
http://takasaki-foundation.or.jp/theatre/