ホルンの室内楽Ⅲ バボラーク・アンサンブル

日本でもおなじみの世界的スターが自身の編曲で描くホルンの音世界

 世界のホルン奏者、ラデク・バボラークの企画する「ホルンの室内楽」が11月25日、東京・晴海の第一生命ホールに戻ってくる。2016、18年に続き5年ぶり3度目となる今回は、長野県のセイジ・オザワ 松本フェスティバルのサイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)、茨城県の水戸室内管弦楽団などで長年、バボラークの“同僚”を務めるハープのヴィルトゥオーゾ、吉野直子の参加が目を引く。

 バボラーク・アンサンブルのメンバーはミラン・アル=アシャブ、マルティナ・バチョヴァー(以上ヴァイオリン)、カレル・ウンターミューラー(ヴィオラ)、ハナ・バボラコヴァ(チェロ)の母国チェコの音楽家中心。ベートーヴェンとブラームス(第2番)の弦楽五重奏曲などで、バボラークは「特定のパートをホルンに代えるのではなく、すべてのパートを振り分けて編曲し直した」という。吉野はバボラーク編のマーラー交響曲第5番の「アダージェット」のほか、ブロウセック編のヴォルフ「イタリアン・セレナーデ」にも加わる。

 吉野とバボラークのマーラーといえば、昨年11月に松本市と長野市で行われたフェスティバル30周年のSKO特別演奏会、アンドリス・ネルソンス指揮の交響曲第9番の神がかり的名演奏を思い出す。「超のつく名手たちが指揮者とは別のラインで積極的会話も繰り広げるので最初からかなりの水準。ただただ妙技に聴き惚れる」と当時、筆者は記した。バボラークの素晴らしさは人間性の深いところで仲間たちと共感し、どこまでも血の通った音楽を奏でる点にある。 
文:池田卓夫
(ぶらあぼ2023年9月号より)

2023.11/25(土)14:00 第一生命ホール
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 
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