セバスティアン・ヴァイグレ(指揮) 読売日本交響楽団

マエストロ自身が日本初演を待ち望んだ20世紀ドイツ音楽の大作

上段左より:セバスティアン・ヴァイグレ(c)読響 撮影:藤本 崇/アンナ・ガブラー(c)Luis Steinkellner/クリスタ・マイヤー(c)Matthias Creutziger
下段左より:ディートリヒ・ヘンシェル(c)Partricia Wilenski/ファルク・シュトルックマン/ルーカス・ゲニューシャス(c)Irina Polyarnaya

 第二次世界大戦後、東ドイツを代表する作曲家として名声を博したハンス・アイスラーの「ドイツ交響曲」が、セバスティアン・ヴァイグレ&読売日本交響楽団によってついに日本初演される。アイスラーは、シェーンベルクに師事した後、劇作家のブレヒトとコラボレーションを展開し、歌曲や劇付随音楽などを作曲。その後、ナチスを逃れ、アメリカに渡る。第二次世界大戦後、“赤狩り”によってアメリカを離れ、東ドイツに移住。東ドイツ国歌を手掛けるなど、国民的な作曲家となった。

 「ドイツ交響曲」は1939年頃までに大部分が書き上げられた。独唱者と朗読者と合唱を要する、1時間を超える大作。ファシズムを批判する11楽章からなるカンタータ的な作品で、農民や労働者を歌うそのテキストにはブレヒトの詩も使われている。東ドイツ出身で、ハンス・アイスラー音楽大学で学んだヴァイグレは、このアイスラーの大作を日本の聴衆にもぜひ紹介したいと望んでいた。最適任者による日本初演は聴き逃せない。アンナ・ガブラー(ソプラノ)、クリスタ・マイヤー(メゾソプラノ)、ディートリヒ・ヘンシェル(バリトン)、ファルク・シュトルックマン(バス)による独唱陣も豪華。

 演奏会前半には、やはり20世紀ドイツを代表する作曲家、パウル・ヒンデミットがほぼ同時期に書いた「主題と変奏『4つの気質』」がルーカス・ゲニューシャスをソリストに迎えて演奏される。独奏ピアノと弦楽オーケストラのための協奏曲的な作品で、バランシンが振り付けしたバレエ音楽としても知られている。新古典主義的な美しい変奏曲である。
文:山田治生
(ぶらあぼ2023年9月号より)

第632回 定期演奏会 
2023.10/17(火)19:00 サントリーホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390 
https://yomikyo.or.jp