ジョゼ・ソアーレス(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団

コンクールで共演のコンビで聴くラテンプログラム

 2021年の第19回東京国際音楽コンクール〈指揮〉で第1位を獲得したジョゼ・ソアーレスが、新日本フィルの「すみだクラシックへの扉」に初登場する。ソアーレスは1998年サンパウロ生まれ。サンパウロ大学で作曲を学ぶ。カンポス・ド・ジョルドン冬季国際音楽祭でマリン・オルソップ、アレクサンダー・リープライヒ、パルヌ音楽祭でパーヴォ・ヤルヴィに師事。2018年には、サンパウロ交響楽団の客演アシスタント・コンダクターに招かれた。昨年は、東京国際音楽コンクール〈指揮〉の入賞デビューコンサートでNHK交響楽団を相手にシューマンの交響曲第1番「春」を振った。

 2年前の東京国際音楽コンクールの本選ではストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」(抜粋)を指揮し、当時23歳とは思えないような明確なテクニックとセンスの良さを示した。そのとき演奏を担ったのが新日本フィルであり、両者の相性の良さから、今回の共演が決まったのであろう。7月の演奏会では、ヴィラ=ロボスの「ブラジル風バッハ第4番」より第1、4曲、ヒナステラのバレエ音楽「エスタンシア」組曲、ビゼーの「アルルの女」第1組曲、第2組曲より間奏曲と「ファランドール」など、彼の魅力が披露されるであろうラテン系の音楽が並ぶ。また、村治佳織が十八番とするロドリーゴの「アランフェス協奏曲」を弾くのも楽しみだ。音楽界の未来を担う今年25歳のマエストロが振る東京での初めてのフル・コンサートは聴き逃せない。
文:山田治生
(ぶらあぼ2023年6月号より)

すみだクラシックへの扉 第16回
2023.7/7(金)、7/8(土)各日14:00 すみだトリフォニーホール
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 
https://www.njp.or.jp