片岡リサ(箏)

クラシック専用ホールで愉しむ丁々発止の“和の弦楽三重奏”

 住友生命いずみホールが昨年から始めた邦楽の新シリーズ『新・日本の響き 和のいずみ』二度目の公演が、8月に行われる。いずみホールといえば客席数821席のクラシック専用ホールで、音響の良さに加え、意欲的な企画にも定評がある。自主企画の対象ジャンルはクラシック音楽にとどまらず、特に邦楽に関しては以前から「和の音を紡ぐ」というシリーズを、長唄三味線の人間国宝、今藤政太郎の企画で行ってきた実績が光る。

 新シリーズ「和のいずみ」でプロデューサーを務めるのは、伝統音楽の枠を超えた音楽性が、様々なジャンルで高く評価されている箏奏者の片岡リサだ。彼女は、「いずみホールの素晴らしい響きを、邦楽とクラシック音楽双方のファンに体験していただこうと、3つのコンセプトを立ててコンサートを組み立てています」と話す。それは、「オープニングは高校生のフレッシュな演奏で始める」、「邦楽界のスーパースターをゲストに迎える」、「出演者全員で演奏する曲を、大阪や関西出身の作曲家に委嘱する」の3つだそうで、今回オープニングを飾るのは、全国大会の常連校で、最優秀校に選ばれた実績もある関西創価高等学校箏曲部。ゲストとして津軽三味線の上妻宏光を招き、彼のルーツとも言える「津軽じょんから節」や、今年生誕130年を迎える宮城道雄の「春の海」(片岡とのデュオ)を演奏する。そして、京都出身の坂田直樹が委嘱作品を作曲中なのだそうだ。

 コンセプトに沿った充実の企画内容だが、そもそも和楽器によるアンサンブルは、どのように楽しめばいいのか。片岡に尋ねたところ「いずみホールのお客様の中には、室内楽や弦楽四重奏のように指揮者を置かず、奏者のアイコンタクトや息遣い、身振りなどで音楽を作り出すことに魅力を感じていらっしゃる方も多いはず。高い集中力と演奏技術を持った奏者の真剣なやり取りは、和楽器同士でも同じこと。おまけに和楽器には独特の揺れや間がある。どのようにそれらを克服し、瑞々しい音楽が誕生するのか、ライブで確かめていただきたいです」と語ってくれた。

 今回は箏、津軽三味線に加え、木場大輔の胡弓も加わる珍しい“和の弦楽三重奏”だ。楽器特性の違うこれらを、坂田がどのような作品に仕上げるのか楽しみは尽きない。そして、様々な国やジャンルを股にかけ、多彩なコラボで聴衆を魅了する上妻と、関西邦楽界の若きリーダー片岡との共演は、ファンや関係者がいつか見たい!と願い続けた夢の顔合わせ。片岡は「上妻さんは最も尊敬する音楽家の一人。テクニックに加え、間合いや音色が素晴らしい。千載一遇のチャンスなので、ぜひいずみホールにお越しください!」と力を込めた。
取材・文:磯島浩彰
(ぶらあぼ2024年8月号より)

片岡リサプロデュース 新・日本の響き 和のいずみ 第2回
2024.8/10(土)16:00 大阪/住友生命いずみホール
問:住友生命いずみホールチケットセンター06-6944-1188
https://www.izumihall.jp