藤原歌劇団創立80周年記念《ラ・ボエーム》、まもなく開幕!

ゲネプロ・レポート第1弾!

 藤原歌劇団が11月1日から3日まで上演する、プッチーニ《ラ・ボエーム》のゲネラルプローベ(総通し稽古)が、10月30、31日にBunkamuraオーチャードホールで行われた。当公演は「藤原歌劇団創立80周年記念公演」と銘打たれ、同団創立最初の演目である《ラ・ボエーム》は同団の誇る主要レパートリー。スター歌手バルバラ・フリットリを迎えることでも注目を集めている。
 岩田達宗による演出は今回で3度目となる再演。20世紀初頭の画家・佐伯祐三の絵画をもとにした舞台で、背景もセットも佐伯作品独特の強いタッチで統一されており、独自の美意識と深みを感じさせ、観る者を惹きつける。
 指揮は沼尻竜典。現在、リューベック歌劇場、びわ湖ホールで監督を務める沼尻だが、意外にも藤原歌劇団には初登場となる。冒頭から沼尻の指揮は気魄にあふれ、若者たちの勢いや情熱を存分に描き尽くし、悲しいシーンでは繊細な音色で歌手に寄り添い、名場面を巧みにつくりあげる。オペラに長けた東京フィルも沼尻の指揮に十全に応え、高い精度で緊張感と温もりに満ちた名演を繰り広げた。第2幕の藤原歌劇団合唱団の弾けるような楽しさも印象的。
 10月30日のゲネプロは 、11月1日と3日のキャスト。やはりミミ役のフリットリの存在感は格別で、演技の意味深さ、品と艶のある歌声など、トップ歌手の力を存分に披露。特に後半の切ない表情と歌唱の美しさは筆舌に尽くしがたく、最後は涙を禁じ得ない。もう一人のスター歌手、ロドルフォ役のジュゼッペ・フィリアノーティも、リリカルでよく通る美声と、会見で見せた知的な落ち着きを併せ持ち、今回も名唱を披露。フリットリとは同演目でも共演経験があり、2人のシーンは大きい演技で見応えも十分。マルチェッロ役の堀内康雄をはじめ、経験豊かな藤原歌劇団の歌手陣が周囲を固め、さらに同団初登場の小川里美がムゼッタ役で花を添えた。
 翌31日のゲネプロは、11月2日の日本人キャスト。ミミ役は藤原歌劇団を代表するヒロインのひとり、砂川涼子。砂川の特長である可憐な容姿と絹目のような美しい歌声は、理想的なミミ像のひとつと言えるだろう。今回もすばらしいミミを演じ、はかない最期の場面は大いに涙を誘った。ロドルフォ役の村上敏明とは長く共演を積み重ねてきており、文字通り息の合った演技で感動的なカップル像を実現。村上自身も同役の豊かな経験を土台に、見事にその歌声を会場に響かせていた。マルチェッロ役の須藤慎吾も同団を代表していくバリトンで、大事な役どころを豊かな美声で熱演。本公演デビューとなるムゼッタ役の伊藤晴は、期待に応える名唱でコケティッシュな魅力をふりまいていた。全員の練り上げられた演技とアンサンブルなど、チームワークが光るキャストで、国内最高レベルの舞台を作り上げていた。
 1日と3日は藤原歌劇団80周年を記念する“お祝いの公演”として最高の舞台となるだろうし、2日は80年におよぶ「チーム藤原」としての“到達点を示す公演”という記念碑的な舞台になるはず。オペラファンならいずれも見逃せない、熱気あふれる3日間になるだろう。

(取材・文:林昌英 photo:M.Terashi/TokyoMDE  *写真は11月1日と3日のキャスト、フリットリ&フィリアノーティ組から)

◆藤原歌劇団創立80周年記念公演 Bunkamura25周年記念
プッチーニ/オペラ《ラ・ボエーム》<字幕付き原語上演>

指揮:沼尻竜典
演出:岩田達宗

出演
ミミ:バルバラ・フリットリ(11/1、3)/砂川涼子(11/2)
ロドルフォ:ジュゼッペ・フィリアノーティ(11/1、3)/村上敏明(11/2)
ムゼッタ:小川里美(11/1、3)/伊藤 晴(11/2)
マルチェッロ:堀内康雄(11/1、3)/須藤慎吾(11/2)
ショナール:森口賢二(11/1、3)/柴山昌宣(11/2)
コッリーネ:久保田真澄(11/1、3)/伊藤貴之(11/2)
ベノア:折江忠道
アルチンドロ:柿沼伸美
パルピニョール:岡坂弘毅

合唱:藤原歌劇団合唱部  
児童合唱:多摩ファミリーシンガーズ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

2014/11/1(土)、2(日)、3(月・祝) 15:00 Bunkamuraオーチャードホール

問:日本オペラ振興会チケットセンター044-959-5067
http://www.jof.or.jp

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