市民とともに創る共同プロジェクトに豪華ソリストと臨む
2月11日から23日にかけて、今年も日本フィルの九州公演が開催される。北九州、熊本、大分、宮崎、鹿児島、福岡、大牟田、長崎、唐津、佐賀をめぐる計10公演の大ツアーだ。指揮はすべてフレンド・オブ・JPO(芸術顧問)の広上淳一が担う。ソリストには公演によりチェロの佐藤晴真、ピアノの小林愛実、ギターの山口修のいずれかが招かれる。
1975年に始まった日本フィルの九州公演は、他に例を見ない市民とオーケストラによる共同プロジェクトという形で成り立っている。それぞれの地域で市民の自主的な参加により実行委員会が組まれ、約半世紀もの長きにわたって継続的に公演が開催されてきた。まさに「市民とともに歩む」日本フィルらしい活動であり、地域の音楽文化に対して大きな貢献を果たしてきたといえるだろう。2021年こそコロナ禍により中止となったものの、22年、23年とふたたび九州公演が続いていることを心強く感じる人は多いはずだ。
メイン・プログラムとなるのは、チャイコフスキーの交響曲第4番、またはベートーヴェンの交響曲第7番。いずれも熱くドラマティックな作品だ。ソリスト陣は佐藤晴真がチャイコフスキーの「ロココの主題による変奏曲」を、小林愛実がショパンのピアノ協奏曲第1番または第2番を、山口修がロドリーゴの「アランフェス協奏曲」を演奏する。名手たちの華麗なソロも大きな話題を呼ぶだろう。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2023年2月号より)
2023.2/11(土・祝)〜2/23(木・祝)
北九州、熊本、大分、宮崎、鹿児島、福岡、大牟田、長崎、唐津、佐賀
※公演の詳細は右記ウェブサイトでご確認ください。
https://japanphil.or.jp