鈴木優人×読響
ハイドンと「春の祭典」で示す6年間の集大成

鈴木優人 ©読響

 読響の3月の土曜・日曜マチネーシリーズに登場するのは鈴木優人。2020年4月より務める読響指揮者/クリエイティヴ・パートナーとしての最後の公演となる。就任以来、意欲的な活動をくりひろげてきた名コンビが、ハイドンとストラヴィンスキーを組み合わせたプログラムで掉尾を飾る。

 ハイドンの交響曲第26番「ラメンタチオーネ」はこの作曲家としては珍しくニ短調で書かれたドラマティックな作品。力強いシンコペーションによる開始はモーツァルトの交響曲第25番を先取りしている。復活祭のために書かれたと言われ、世俗的な交響曲の分野に受難と哀歌を題材とした宗教的なモチーフを織り込んだ異色作だ。第3楽章のメヌエットで曲を閉じる楽章構成も不思議。

 同じくハイドンの協奏交響曲変ロ長調では、ヴァイオリンの瀧村依里、チェロの富岡廉太郎、オーボエの金子亜未、ファゴットの井上俊次といった読響の名手たちがソリストを務める。気心の知れた奏者同士の親密なアンサンブルを楽しめることだろう。

 メインプログラムはストラヴィンスキーの「春の祭典」。かねてよりストラヴィンスキーへの強い思い入れを公言する鈴木優人が、大編成による20世紀の記念碑的な名作に挑む。「春の祭典」といえば、異教の儀式が荒々しく描かれた作品であると同時に、洗練されたリズムの饗宴でもある。指揮者によってさまざまなアプローチがありえる作品だが、はたしてどんな演奏が生まれるのか、期待が膨らむ。

文:飯尾洋一

(ぶらあぼ2026年2月号より)

鈴木優人(指揮) 読売日本交響楽団
第285回 土曜マチネーシリーズ 

2026.3/14(土)
第285回 日曜マチネーシリーズ 
2026.3/15(日)
各日14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390 
https://yomikyo.or.jp


飯尾洋一 Yoichi Iio

音楽ジャーナリスト。著書に『クラシックBOOK この一冊で読んで聴いて10倍楽しめる!』新装版(三笠書房)、『クラシック音楽のトリセツ』(SB新書)、『マンガで教養 やさしいクラシック』監修(朝日新聞出版)他。音楽誌やプログラムノートに寄稿するほか、テレビ朝日「題名のない音楽会」音楽アドバイザーなど、放送の分野でも活動する。ブログ発信中 https://www.classicajapan.com/wn/