【SACD】ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」/ジョナサン・ノット&東響

 音楽監督就任当初から評価の高かったノットと東響だが、コロナ禍も越え、最近の演奏には本当に良い信頼関係が育ってきたと感じる。マエストロの動きをオケが寸分漏らさず音にする以心伝心ぶりは、どこでも見られるというものではない。このブルックナーにもそれはよく表れており、緻密な解釈と精度の高いアンサンブルが、豊かな歌と溶けあい自然な流れを生んでいる。伸びやかに始まり心地よく推進する冒頭楽章、艶やかな歌がまぶしいアンダンテ、キレのよいスケルツォとのどかなトリオ、原始雲の中からいかずちのように打ち鳴らされるフィナーレのフォルティッシモ、すべてがクリアで鮮やかだ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2023年2月号より)

【information】
SACD『ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」/ジョナサン・ノット&東響』

ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(1878/80年稿 ノーヴァク版)

ジョナサン・ノット(指揮)
東京交響楽団

収録:2021年10月、サントリーホール(ライブ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00796 ¥3520(税込)