京都市西京区の室内楽専用ホール「青山音楽記念館 バロックザール」を運営する公益財団法人青山音楽財団は1月28日、2025年度第35回青山音楽賞の受賞者を発表した。
第35回青山音楽賞受賞者
新人賞(1名)
大本和司(ヴァイオリン)
青山賞(2名)
山田唯雄(クラシックギター) 小井土文哉(ピアノ)
バロックザール賞(2組)
Quartet 風雅
【落合真子、小西健太郎(以上ヴァイオリン)、川邉宗一郎(ヴィオラ)、松谷壮一郎(チェロ)】
Violin Quartette TAKEYUMI
【山本大心、清水健太郎、及川悠介、島田光博(以上ヴァイオリン)】
初代館長・青山政次(元京セラ会長)の「音楽を愛する若者たちを応援したい」という想いから生まれた顕彰事業で、毎年1月から12月までに青山音楽記念館 バロックザールで開催された演奏会が選考の対象となる。演奏技術だけでなく演奏会全体の完成度を総合的に審査する、国内でもユニークな音楽賞として知られている。新人賞には音楽研修費の助成も含まれ、次世代を担う演奏家の成長を長期的に支援している点も大きな特徴だ。

新人賞を受賞したのはヴァイオリンの大本和司。2025年に相愛大学音楽学部を首席で卒業し、第33回京都芸術祭奨励賞や、ポーランドの第7回タデウシュ・ヴロンスキ国際ソロヴァイオリンコンクールでも入賞している。受賞対象となったのは、ルクレールやフランクのソナタ、バルトークの無伴奏作品などを取り上げた25年11月のリサイタル「数列と循環」。作品を理性的に探究しつつ、説得力のあるパフォーマンスで聴衆に強い印象を残した点が高く評価された。
演奏会当日26歳以上(声楽部門は29歳以上)の個人の演奏会を対象とする青山賞は、ギタリストの山田唯雄(いお)とピアニストの小井土文哉の2名。

右:小井土文哉 (c)井村重人
山田は地元・京都堀川音楽高校出身。東京音大、ウィーン国立音大、ワイマール フランツ・リスト音大などで学び、世界三大ギターコンクールの一つ、第55回ミケーレ・ピッタルーガ国際ギターコンクール(イタリア)で日本人として30年ぶりに優勝。チリで行われる第48回 Dr.ルイス・シガール国際音楽コンクールのギター部門で日本人初となる第1位および聴衆賞を受賞するなど、国際的にも高い評価を受けている。受賞対象となった25年2月のリサイタルでは、「スペインに纏わる20世紀のギター作品」をテーマに掲げ、研ぎ澄まされたテクニックと精緻な表現力が高く評価された。
第87回日本音楽コンクール、第15回ヘイスティングス国際ピアノ協奏曲コンクール(イギリス)をはじめ、国内外の多くのコンクールで優勝経験を持つピアニストの小井土文哉。すでに各地のオーケストラとの共演やリサイタルなど、活発な演奏活動を展開する一方、現在もイタリア・イモラ音楽院で研鑽を積んでいる。ベートーヴェン、ドビュッシー、ショパン、リストと幅広いプログラムを披露した25年12月のリサイタルでは、知性と感性のバランスに優れた完成度の高い演奏が受賞につながった。
アンサンブルの演奏会が対象となるバロックザール賞は2組。

右:Violin Quartette TAKEYUMI
Quartet 風雅は、2001年生まれの4名により結成。第13回秋吉台音楽コンクール室内楽部門(弦楽四重奏)で第1位およびベートーヴェン賞、山口県知事賞(グランプリ)を、第5回宗次弦楽四重奏コンクールでも第1位を獲得。サントリーホールのチェンバーミュージック・ガーデンへ出演した実績もあり、同ホールの室内楽アカデミー、イタリアのキジアーナ音楽院夏期アカデミーにも参加するなど各地で経験を重ねてきた。受賞対象となった25年7月のリサイタルでは、緊密かつダイナミックなアンサンブル、そして若さ溢れる表現力が高い評価を受けた。
もう一組は、東京藝術大学音楽学部附属音楽高校の同級生により2016年に結成されたViolin Quartette TAKEYUMI。メンバーは読響、ミュンヘン・フィルのアカデミー、パリ音楽院などで研鑽を積み、各地で多様な活動を重ねてきた。「TAKEYUMI」は、4人の名前の頭文字から取ったもので、弓道で用いられる竹弓、また、take(弓使い、弓を手に取る)という意味合いも含まれている。25年12月の公演では、卓越した技術と高い集中力を発揮し、居合わせた聴衆一人ひとりが音楽の喜びを心から感じる演奏が高く評価された。
授賞式は3月7日、青山音楽記念館 バロックザールにて行われ、各受賞者による演奏も披露される予定だ。
文:編集部
青山音楽賞
https://aoyama-music-foundation.or.jp/music_awards_winner/
