ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管の首席奏者を務めるイタリア人ファゴット奏者によるフランス作品集。ファゴットのためのオリジナル曲ばかりというのも貴重だ。高音から低音まで柔らかな歌を聴かせるのがテルツォの持ち味。フランセの「2つの小品」での跳躍の大きい道化めいた立ち回りや、サン=サーンスのソナタでの華麗な音色。それぞれの作品の特色を巧みに引き出す。なかでも、ケクランの「3つの小品」でのうち沈んだような抒情があふれる歌心は身に染みた。ベルリン在住のピアニスト、沢野智子が明快に句読点を打ち、音楽をしっかりと引き締めている。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2026年2月号より)
【information】
CD『Voyage en France/リッカルド・テルツォ&沢野智子』
フランセ:2つの小品/サン=サーンス:ファゴット・ソナタ/デュティユー:サラバンドと行列/ケクラン:3つの小品/ブトリ:アンテルフェランス I/ビッチュ:コンチェルティーノ
リッカルド・テルツォ(ファゴット)
沢野智子(ピアノ)
妙音舎
MYCL-00059 ¥3410(税込)

鈴木淳史 Atsufumi Suzuki
雑文家/音楽批評。1970年山形県寒河江市生まれ。著書に『クラシック悪魔の辞典』『背徳のクラシック・ガイド』『愛と幻想のクラシック』『占いの力』(以上、洋泉社) 『「電車男」は誰なのか』(中央公論新社)『チラシで楽しむクラシック』(双葉社)『クラシックは斜めに聴け!』(青弓社)ほか。共著に『村上春樹の100曲』(立東舎)などがある。
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